2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における不定愁訴の原因解明とドライアイ罹患率の疫学的解析
Project/Area Number |
22791693
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内野 美樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00365339)
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Keywords | ドライアイ / 危険因子 / 疫学調査 / 有病率 / 不定愁訴 / 多変量解析 |
Research Abstract |
日本におけるドライアイ関連不定愁訴について、自覚症状別の出現頻度と関連因子を検討した。長野県小海市の住民台帳に登録されている40歳以上3292名に対し、郵送にてアンケート用紙を配布し、無記名式で回答を取得した。アンケートでの質問項目は、自覚症状の種類と強さ(4段階評価)、ドライアイ診断既往歴の有無、年齢、性別、Body mass index(BMI),学歴、VDT作業の有無と作業時間、全身疾患,喫煙及びアルコール摂取の有無、コンタクトレンズ(CL)使用歴、とした。乾燥感および違和感の程度が強いものを自覚的ドライアイ、ドライアイ診断既往ありを診断的ドライアイと定義し、多変量解析にて危険因子、オッズ比(OR)を調べた。 結果は、有効回答者数は2644名(男性:1221名、女性:1423名)、回答率は80.3%であった。自覚的ドライアイは男性140名(11.5%)、女性266名(18.7%)、診断的ドライアイは男性25名(2.0%)、女性113名(7.9%)、自覚的ドライアイもしくは診断的ドライアイは男性153名(12.5%)、女性308名(21.6%)であった。多変量解析の結果、ドライアイの危険因子として、男性では低BMI(OR=2.1)、CL使用(OR=3.8)、高血圧(OR=1.4)であり、女性ではVDT作業(OR=2.3)、CL使用(OR=3.6)、心筋梗塞または狭心症(OR=2.6)であることがわかった。また、女性におけるドライアイの予防因子としでは、高BMI(OR=0.7)が証明された。 本研究は日本で初めて、ドライアイの有病率を一つの市町村単位で調べた画期的なものであった。自覚的ドライアイ、診断的ドライアイの頻度は海外の報告と比べて高く、BMIがドライアイに関連する可能性が示唆された。
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