2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるヒトiPS細胞から視細胞への分化誘導促進
Project/Area Number |
22791702
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 理志 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, リサーチアソシエイト (50509106)
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Keywords | 視細胞 / 分化誘導 / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
われわれはこれまでにヒトES/iPS細胞より種々の網膜細胞への分化誘導に成功していたが、視細胞への分化誘導に関しては4~5ヶ月という長期間の培養が必要であり、より短期間で視細胞取得ができる新しい分化誘導法が望まれていた。視細胞への分化誘導は、ES/iPS細胞から網膜前駆細胞(以下、前駆細胞)への分化誘導と前駆細胞から視細胞への分化誘導の大きく2つのステップに分けることができるが、本年度はまず分化誘導促進を目指した遺伝子導入がそのどちらのステップに効果的であるかを調べるため、マウスES/iPS細胞を用いて種々の分化誘導法による前駆細胞及び視細胞が出現するまでのタイムコースを調べた。前駆細胞の検出は主にRx-GFPノックインES細胞を用い、視細胞(杆体)の検出にはNrl-GFPトランスジェニックマウスよりiPS細胞を新たに作製して用いた。その結果、前駆細胞の出現は分化誘導開始から7~8日めといずれの分化誘導法でも大差はなかったが、視細胞(杆体)の出現時期は分化誘導開始から15~29日と分化誘導条件により大きく変化した。このことから分化誘導前半の前駆細胞誘導は条件にかかわらずある程度の誘導期間が必要であるのに対し、後半部の前駆細胞から視細胞への分化誘導ステップは条件次第で期間短縮が可能であり、適切な転写因子群の遺伝子導入による分化誘導促進も可能性があると考えられた。長期間を要する視細胞誘導条件の際に発現が遅れる転写因子が分化誘導の律速段階と考えられ、導入遺伝子の候補となり得る。
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