2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるヒトiPS細胞から視細胞への分化誘導促進
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22791702
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 理志 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, リサーチアソシエイト (50509106)
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Keywords | 視細胞 / 分化誘導 / iPS細胞 / ES細胞 |
Research Abstract |
われわれはこれまでにヒトES/iPS細胞より種々の網膜細胞への分化誘導に成功していたが、視細胞への分化誘導に関しては4~5ヶ月という長期間の培養が必要であったため、より短期間で視細胞取得ができる新しい分化誘導法の検討をおこなっている。前年度の結果において、分化誘導前半の前駆細胞誘導は条件にかかわらずある程度の誘導期間が必要であるのに対し、後半部の前駆細胞から視細胞への分化誘導ステップは条件次第で期間短縮が可能であり、適切な転写因子群の遺伝子導入による分化誘導促進の可能性があることが示唆された。しかし従来の培養条件では網膜前駆細胞誘導効率が高くなく、遺伝子導入効率等を考慮するとその後の視細胞誘導条件を検討するには不十分であると考えたため、まず網膜前駆細胞誘導効率のさらなる改善を検討した。様々な基礎培地や添加物を検討した結果、基礎培地をGMEMからNeurobasal培地に変更し、さらにRARアンタゴニストを添加することで網膜前駆細胞の誘導効率が30%以上となり、十分に遺伝子導入検討実験に使用できる量の網膜前駆細胞の調製が可能になった。視細胞誘導への外来遺伝子導入に関してはレンチウイルスベクター系を採用し、ベクター構築からおこなった。前年度にNrlプロモーター下にEGFPを発現するマウスiPS細胞を作製していたため、導入遺伝子の下流にIRESでmCherryを発現するレンチウイルスベクターを構築し、またその外来遺伝子の発現量を調整可能なようにドキシサイクリン誘導性のプロモーターを上流に置いている。これまでにCrxやOtx2等約20の候補遺伝子群についてベクター構築をほぼ完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスES/iPS細胞を用いた培養条件検討をおこなった点など当初の研究計画と変更した点もあるが、その結果分化誘導後半が律速になっていることがわかり、検討すべき箇所も絞りやすくなったため、分化誘導期間の短縮という目的から言えば順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスES/iPS細胞由来の網膜前駆細胞に分化促進候補遺伝子を発現するレンチウイルスベクターの感染させてスクリーニングをおこなう。その結果得られた候補遺伝子をヒトiPS細胞由来の網膜前駆細胞に対しても適用し、その効果を検証する。最終的にはレンチウイルスではなくmRNA等の形での遺伝子導入を目指す。
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