2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22791705
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
本庄 恵 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60399350)
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Keywords | 緑内障 / 房水 / テノン嚢 / 瘢痕形成 / 眼圧 / 緑内障手術 / 緑内障治療薬 |
Research Abstract |
国内外で最も広く行われている緑内障手術である線維柱帯切除術は、房水のバイパスを作成し、眼外で結膜及び結膜下組織による濾過胞を形成させる濾過手術である。術後に適切な濾過胞を安全に維持することが手術結果を得るためには大変重要であり、現在行われている方法では術後早期、および晩期の感染症が問題となっている。安全に結膜及び結膜下テノン嚢組織における瘢痕形成を抑制することで、良好な緑内障手術成績につながると考え、本研究では、従来の増殖抑制による搬痕抑制ではなく、テノン嚢線維芽細胞の細胞動態を制御している分子機構・生理的因子を検討し、シグナル伝達に関わる化合物を用いて、テノン嚢の創癒機転の解明やより安全な瘢痕形成の抑制方法を模索している。 昨年度はこれまでに行ってきた瘢痕形成に関する研究成果を発表し、まとめると同時に、以前より継続している眼圧下降効果の新しい機序を解明するための研究として、線維柱帯細胞、シュレム管細胞にたいする細胞骨格制御の影響について、研究成果をまとめることができた。以前より取り組んでいるROCK阻害薬が、細胞の透過性亢進に関与する機序について、細胞間接着の変化のほか、細胞内カルシウムの制御にも関わっていることなど、新たな知見を得ることができた。 次年度以降、この研究についても継続して行い、以前報告した瘢痕形成機序におけるROCK阻害薬の関与についてもより詳細に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に血管新生抑制に関わるような薬物としてサリドマイドについて検討を行い、研究成果を発表することができた。今後さらなるサイトカイン反応、細胞接着分子及び細胞外基質への影響につき、解析を継続の予定である。また、眼圧下降薬についても、平行して研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
緑内障治療は薬物療法の進歩に伴い、手術療法よりも薬物療法が第一選択になりつつある。結果、緑内障患者は長期にわたってさまざまな種類の緑内障治療薬を使用することになり、緑内障手術の際には眼表面はこれらの薬物の影響をかなりうけていると考えられる。今後はさらなるサイトカイン反応、細胞接着分子及び細胞外基質への影響の解析を継続、また、臨床でよく用いられている緑内障治療薬について、テノン嚢線維芽細胞の細胞動態に与える影響を検討し、実際の手術成果との対比を検討することを継続して行い、より良好な手術効果との関連を検討していく予定である。
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Research Products
(7 results)