2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性腫瘍に対するヘッジホグシグナル系阻害剤を用いた分子標的治療に関する研究
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22791708
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 元成 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40546909)
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Keywords | Hedgehog(Hh) / Gli1 / Forskolin / 横紋筋肉腫 / 神経芽腫 / 肝芽腫 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
最近Hedgehog (Hh)シグナル伝達系の変異が種々の成人悪性腫瘍の増殖や腫瘍発生に関与することが注目されているが、小児悪性腫瘍に関しては未だ詳細は不明である。我々は小児悪性腫瘍細胞株を用い、経路上の転写因子Gli1の阻害剤Forskolin投与による腫瘍増殖抑制効果を検討し、小児悪性腫瘍におけるHhシグナル伝達系の治療標的の可能性について考察した. 【対象及び方法】(1)代表的な小児悪性腫瘍である神経芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫細胞株において、Hhシグナル活性化の指標とされるGli1の発現をRT-PCR,qPCR法にて検討した.(2)Forskolin投与による6盟の発現変化、細胞増殖抑制効果、Apoptosisの変化を検討した.(3)in vitroにて抑制効果の見られた細胞株について、ヌードマウス移植担癌マウスを作製し、Forskolinを皮下注して腫瘍増殖抑制効果を検討した.【結果】(1)Gli1発現は、横紋筋肉腫細胞株で高い発現を認め、神経芽腫と肝芽腫で中等度の発現を認めた.(2)全ての細胞株においてForskolinの添加によりGki1の発現は濃度依存性に減少した.(3)NB1を除く全ての細胞においてForskolinの添加により細胞増殖は濃度依存性に抑制された。HepG2を除く全ての細胞株でApoptosisは有意に亢進した.(3)Forskolin皮下投与により、マウス移植腫瘍の増殖は横紋筋肉腫では抑制されたが、神経芽腫、肝芽腫では縮小効果は得られなかった。 【総括】Hhシグナル伝達経路の構成因子を阻害することで神経芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫腫瘍細胞の増殖抑制とApoptosis亢進が認められた。また横紋筋肉腫ではin vivoヌードマウス移植細胞の増殖抑制効果がみられた。以上よりHhシグナル伝達経路は小児悪性腫瘍の治療において治療標的となりうる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroおよびin vivoにおける横紋筋肉腫に対するForskolinの抗腫瘍効果は概ね証明できており、論文発表に向けた確認実験を行う段階まで到達している。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画においては、Forskolinが誘導するapoptosisや細胞増殖抑制の効果判定のみに止めているが、今後は腫瘍の転移や浸潤に関する評価も行い、癌の進展のメカニズムにおけるより本質的な領域の理解も深めていく予定である。
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Research Products
(3 results)