2010 Fiscal Year Annual Research Report
セロミクスを応用した神経芽腫の分化関連因子の解析と治療法開発
Project/Area Number |
22791709
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
亀井 尚美 広島大学, 病院, 医科診療医 (20569727)
|
Keywords | 神経芽腫 / がん幹細胞 / 悪性度マーカー / 発現制御 / 発生・分化 / 遺伝子導入 / 予後因子 / ブロテオーム |
Research Abstract |
神経芽腫の予後良好腫瘍と予後不良腫瘍の網羅的遺伝子発現の比較解析から見出した前者で発現が有意に高い3遺伝子の遺伝子産物抗体を用いて、約300腫瘍について前者由来の腫瘍細胞(分化遅延細胞)、化学療法抵抗性で高頻度に再発する後者の腫瘍細胞(分化逸脱細胞)を分別した。さらに、神経芽腫株にこの3遺伝子を導入し、細胞の増殖能や分化形態を観察したところ、遺伝子導入した細胞株では、導入効率に問題が残っているが細胞増殖が抑制され分化傾向を認めた。一方で、これらの3遺伝子のsiRNAを作成し、細胞株および腫瘍から得た初代培養細胞に導入してこれらの遺伝子発現による細胞形態の変化を検討した。その結果、siRNAを導入して遺伝子発現を抑制したところ、3遺伝子の中で2つの遺伝子は投与後48時間で有意に増殖が促進し、その後に増殖能が低下してコントロールと同様になるする傾向を認めたそこで、。広島大学で開発した「一細胞解析:セロミクス」(一細胞の細胞内容のMS解析システム)にて経時的に細胞内代謝の変化を検討するために6時間ごとに細胞内液を採取し、代謝産物の網羅的解析を行った。 その結果、スフィンゴミエリンやチューブリン等神経細胞骨格をかかわる蛋白が抑制されていた。現在、その細胞内シグナルの変化をパスウェイ解析で検討中である。 また、これらの細胞から、セルソーターにて神経芽腫細胞株9株から、UVにてSP分画を識別し、ベラパミルにて消退することが確認できた分画を採取し、さらにそれらを再培養して、遺伝子発現を検討した結果、上記の3遺伝子の発現はほとんど検出されず、分化関連の遺伝子であることが確認された。現在、これらの幹細胞分画の特性を検討するとともに、これらに3遺伝子を導入してその形態と遺伝子発現の変化を検討している。
|