2011 Fiscal Year Annual Research Report
セロミクスを応用した神経芽腫の分化関連因子の解析と治療法開発
Project/Area Number |
22791709
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
亀井 尚美 広島大学, 病院, 医科診療医 (20569727)
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Keywords | 神経芽種 / がん幹細胞 / 悪性度マーカー / 発現制御 / 発生・分化 / 遺伝子導入 / 予後因子 / プロテオーム |
Research Abstract |
神経芽腫の予後良好腫瘍と予後不良腫瘍の網羅的遺伝子発現の比較解析から前者で発現が有意に高かった3遺伝子の遺伝子産物抗体を用いて、約300腫瘍を前者由来の腫瘍細胞(分化遅延細胞)、化学療法抵抗性で高頻度に再発する後者の腫瘍細胞(分化逸脱細胞)を分別した。さらに、神経芽腫細胞株9株にこの3遺伝子を導入し、細胞の増殖能や分化形態を観察したところ、細胞増殖が抑制され、一部に分化傾向を認めた。定量RT-PCR法による導入後の各遺伝子発現から、遺伝子導入効率に差が認められ、効率に準じて増殖抑制が起きていた。一方で、この3遺伝子のsiRNAを3種作成し、細胞株9株および腫瘍から得た初代培養細胞5検体に導入して細胞形態の変化を検討した。その結果、定量RT-PCRでは48時間迄は有意に遺伝子発現が抑制され、一部を除きsiRNA投与後48時間で有意に増殖が促進した。同様に、広島大学で開発した「一細胞解析:セロミクス」(一細胞の細胞内液のMS解析システム)にて6時間ごとに細胞内液を採取し、代謝産物の網羅的解析を行った。その結果、スフィンゴミエリンやチューブリン等神経細胞骨格に関わる蛋白とさらに神経伝達物質に関わるGA8Aやタウリンが後者で抑制されていた。 また、これらの細胞の一細胞解析データを、total RNAを用いて、マイクロアレイ解析を行った結果と照合して、3遺伝子導入やその抑制によるパスウェイについて探索を行った。その結果、グルタミン酸の代謝パスウェイが関与しており、グルタミン酸脱水素酵素の変化が、これら細胞の分化誘導に関連しており、これらの悪性度を規定している可能性が示された。故に、この酵素が有用なバイオマーカーと考えられ、この酵素測定や誘導剤の開発が診断および治療開発に結びつく可能性が示唆された。
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