2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児固形がんにおける新規血清腫瘍マーカーとしてのHh蛋白の有用性に関する研究
Project/Area Number |
22791710
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗崎 良太 九州大学, 大学病院, 助教 (10403990)
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Keywords | 神経芽腫 / Hedgehog signal |
Research Abstract |
〈研究成果〉 今年度は、当科で治療を行った神経芽腫および神経節芽腫検体の92例に対して、Hhシグナルの活性化の有無について検討を行った。Paraffin切片に対しての免疫染色にてHhsignal経路の中でその活性化の指標となっている蛋白であるSonic Hh、Patched(Ptch),Gli 1(Gli1)発現を判定、定量化した。それぞれの陽性率は、73%、67%、79%であった。このことから、神経芽腫においては、Hhシグナルは活性化している症例が多いことが、確認された。 続いて、Hhシグナルの活性化の程度と、症例ごとの神経芽腫の腫瘍悪性度の検討を行った。すると、神経芽腫でもっとも強力な予後不良因子であるMYCN遺伝子増幅のある症例において、その活性化の程度が低いことが明らかとなった。また、病期との関連についても検討を行い、進行病期が早期の症例のほうが、GLI1蛋白の発現が高いことが明らかとなった。 今年度は、神経芽腫患者の血清を用いてHhタンパクの定量化を行うとともに、mRNAの発現の定量化を行う。また、そのほかの小児固形悪性腫瘍についても、手術検体におけるHh関連タンパクおよびmRNA発現を検討する。血清でのHhシグナルタンパクの定量化を行い、新規腫瘍マーカーとしてのHhタンパクの検討を行う。 今後、実験結果より、Hedgehog経路が小児固形悪性腫瘍の発生、増殖に関与することが示唆されれば、5つの小児固形悪性腫瘍細胞株を用いて、Hhシグナルの抑制効果があるとされているCyclopamineによるHedgehog経路の遮断が腫瘍増殖抑制に関与するかを検討する。
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