2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児固形がんにおける新規血清腫瘍マーカーとしてのHh蛋白の有用性に関する研究
Project/Area Number |
22791710
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗崎 良太 九州大学, 大学病院, 助教 (10403990)
|
Keywords | 神経芽腫 / 血清腫瘍マーカー / Hhシグナル |
Research Abstract |
(目的)小児固形がんにおいては、横紋筋肉腫やWilms腫瘍のように血清腫瘍マーカーが存在しない疾患が存在する。また、神経芽腫や肝芽腫においても、尿中VMA、HVAやAFPが腫瘍マーカーとして知られているが、それらのマーカーが上昇していない症例があり、しかもそれらは予後の悪い症例に頻度が高い。それらの腫瘍マーカーの上昇していない神経芽腫症例においては、診断・化学療法の有効性・再発の有無については画像診断を中心として行っているのが検査に伴う被ばくの問題や、小児にあるために画像検査も鎮静が必要であることなど侵襲がある。今回我々は、小児の髄芽腫、成人の消化器癌、基底細胞痺など種々の発癌に関与することが知られているHedgehog (Hh)シグナル伝達系がこれら小児固形腫瘍においても、活性化していること示し、それらのシグナル伝達に関与する蛋白を小児固形腫瘍、とりわけ神経芽腫においての新規血清腫瘍マーカーとして開発することの可能性について検討を行った。 (方法)当科で治療を行った神経芽腫82例、神経節芽腫10例の合計92例を対象とし、Hhの関連蛋白であるShh、GLI1、Patch1の免疫染色を行い50%以上の細胞が陽性のものを陽性とした。 (結果)神経芽腫全92例中Shhは67例(73%)、GLI1は62例(67%)、Patch1は73例(79%)が陽性であった。MYCN増幅症例20例において、陽性例はそれぞれ2例(10%)、2例(10%)、4例(20%)であり、MYCN増幅症例においてはHh関連蛋白の発現が有意に低かった。また、72例のMYCN非増幅症例において、stage4症例はstage1症例と比較して、有意にGLI1の発現が低かった。またMYCN非増幅例をGH1陽性例(n=60)とGLI1陰性例(n=12)に分け予後を検討したところ、GLI1陽性例は有意に予後良好であった。 (考察)神経芽腫において、Hh関連タンパクは多くの症例で発現を認めた。また、予後との相関も認めたため今後、腫瘍マーカーとしての意義のみならず、予後因子の一つとして血清腫瘍マーカーを用いることができる可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)