2011 Fiscal Year Annual Research Report
きわめて高頻度に直腸肛門奇形を示す、新規モデルマウスを用いた鎖肛発生過程の解明
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22791711
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
李 光鐘 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (00467995)
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Keywords | 発生・分化 / 解剖学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々が新たに作製樹立した直腸肛門奇形100%発症マウス(Sd Skt/+ Skt double mutant mouse)を用いることにより、鎖肛の発生過程を解析し鎖肛発症のメカニズムを解明することをこの研究の目的としている。 胎生期各段階(9.5-13.5日)のSd Skt/+ Skt double mutantマウス胎仔をパラフィン包埋し8μm連続切片を作製しHE染色にて観察した。総排泄腔(cloaca)とcloacal plate、総排泄腔を前後に分ける尿直腸中隔(urerectal septum)の形成を時間的解析に解析したところ、胎生11.5-12.5日の本マウスにおいてcloacal plate背側の短縮がおきると同時に背側の間葉組織の肥厚がおきていることが分かった。またX-gal染色した上で観察したところ、形態異常を示している部位でのSktの発現を確認できた。 この結果から、本マウスにおける、鎖肛発生過程での形態的異常とその時期が判明した。また形態異常を示しているcloacal plate背側周囲でのSktの発現は、鎖肛発生にcloacal plate背側の短縮と間葉組織の肥厚が関与している可能性を示している。 次に、鎖肛発症のメカニズムに関与する分子を明らかにする目的で、当該時期、同部位周辺の組織から抽出したDNAをDNAマイクロアレイにて解析した結果、Hoxa13とHoxd13の発現上昇とCdx2の発現低下がみとめられた。その3つの遺伝子発現についてリアルタイムPCRとin situ hybridizationで発現・局在を解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、「鎖肛発生に関与する可能性を有する分子の発現、局在を解析し直腸肛門奇形発生の分子機構を明らかにする。」のうち、可能性のある分子に行き着きつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の3つの遺伝子(Hoxa13とHoxd13、Cdx2)の発現・局在の解析を進めるとともに、その3つの遺伝子とSd遺伝子ならびにSk遺伝子を含めたシグナル経路の解析を行いたいと考えている。
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