2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791720
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
庄野 文恵 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30437412)
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Keywords | ケロイド / COMP / タイプIコラーゲン / 同一人物 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
同一個体からケロイド線維芽細胞(KF)と正常皮膚線維芽細胞(NF)を得、両者のマイクロアレイ解析の結果、KFではcartilage oligomeric matrix protein (COMP)が48.5倍と2番目に多く増加していた。2つの既知の知見、「ケロイド組織では、コラーゲンの不規則で過剰な蓄積が認められる。」「COMPはコラーゲンのfibril formationを促進する」を踏まえ、COMPはケロイド形成に関与すると推測した。そこで、以下の実験を行った。 1、皮膚組織内のCOMPの存在を調べるため、免疫組織染色を行った。その結果、ケロイド組織(KT)では15例中10例でCOMPが検出されたが、正常皮膚組織(NT)では6例全例で検出されなかった。 2、同一個体由来のKTとNT、KFとNFのペアサンプルを用い、Western Blot法でCOMP量を計測した。COMP量はKT>NTであり、KF>NFであった。培養線維芽細胞のCOMP産生能は、由来組織の性質を継承することを確認した。 3、KFにおいて、COMPの抑制がコラーゲン生成を抑制し得るかについて調べた。COMP siRNAによりCOMP mRNA生成が阻害され、COMPタンパク生成量は減少した。このとき、Western Blot法と免疫細胞蛍光染色でタイプIコラーゲン生成の減少が確認された。また、RT-PCR法によりタイプIコラーゲンのmRNAも減少がみられた。以上より、平成22年度の目標であった(A)ケロイド組織における、COMPのin vivoでの発現の確認、(B)COMPの発現量とコラーゲン合成量の関係、の2点を明らかにすることができた。 本研究は、ケロイドにおいてCOMPの減少がコラーゲン生成量を減少させうることを初めて明らかにした点で新規性があり、ケロイドの病態解明に寄与したといえる。
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