2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791720
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Research Institution | 公益財団法人田附興風会 |
Principal Investigator |
庄野 文恵 公益財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 研究員 (30437412)
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Keywords | ケロイド / 創傷治癒 / COMP / TGF-β1 / コラーゲンタイプI / mRNA |
Research Abstract |
ケロイドにおけるCOMPの過剰発現の持続は、正常皮膚ではみられない。そこで、ケロイドにおけるCOMPの過剰発現は、(1)腫瘍的、(2)創傷治癒のover-reaction、あるいは(1)と(2)の両方であるのかを検討した。正常皮膚線維芽細胞(NF)とケロイド線維芽細胞(KF)にTGF-β1(創傷治癒過程のトリガー)を添加し、COMPの生成量をWestern Blot法で調べた。NF、KFともに、TGF-β1添加により、COMP生成量は増加した。 H22年度の本研究では、KFでのCOMP mRNAの発現抑制により、コラーゲンタイプI mRNAの生成量が減少した。そこで、COMPの増加が、タイプIコラーゲン生成量を増加させうるかを検討した。細胞外COMPをNFおよびKFに添加したところ、沈着するプロコラーゲンが増加した。次に、COMP mRNA発現プラスミドをNFとKFに導入し、real time PCR法でタイプIコラーゲン(COL1A2)mRNA量を計測した。その結果、NFではCOL1A2 mRNAに変化はなく、KFではCOL1A2 mRNAが48時間後に増加した。 以上の結果より、COMPの一時的な発現増加は、正常な創傷治癒の過程であると考えられた。ケロイドにおけるCOMPの過剰発現の持続は、腫瘍的であるといえる。COMP mRNAによるコラーゲンタイプI mRNAの調整は、KFではオンになり、NFではオフになっている。さらに、COMP mRNAの増加に遅れてCOL1A2 mRNAが増加するため、COMP mRNAによるCOL1A2の転写調節は、直接的とは考えにくい。ケロイドと正常皮膚との主要な差異は、COMPの過剰発現を持続させる因子と、COMP mRNAによるCOL1A2 mRNAの転写調節のオン・オフをコントロールする因子であると推測できた。
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