2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい脱細胞化技術による小口径人工血管の開発~その実用化を目指して~
Project/Area Number |
22791722
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (50444592)
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Keywords | 小口径血管 / スキャフォールド / 脱細胞化 / 再生医療 |
Research Abstract |
これまでにわれわれは新規の方法で組織を脱細胞化する技術を開発した(特許出願:特願2009-041827)。本方法を直径3mm程度の小口径血管に応用した結果、脱細胞化を認めたのみならず動物実験において腹部大動脈に移植したところ半年に渡って100%の開存を確認した。組織学的に評価を行った結果、内腔面に血管内皮細胞が定着し、さらにその内面に血管平滑筋細胞の層構築を認め、組織学的には完全な再生血管を得ることができた。今後、実用化に向け、本脱細胞化血管の物性および再生機序の解明、再生血管の生理機能の評価を行いたく、本研究を開始した。 (1)脱細胞化血管の物性評価 本方法により得られた脱細胞化血管の電子顕微鏡的評価を行ったところ、TEM,SEMともに脱細胞化が十分に行われている一方で基底膜を含む細胞外マトリクスが十分に保存されていることが明らかとなった。これは臨床応用に向けて十分な強度を保つことを示唆するものである。また本脱細胞化血管の開存率の高さは細胞外マトリクスの温存にあることが考えられる。 (2)血管平滑筋細胞の由来の探索 移植後2週間で移植血管を採取し、抗SAM、抗体および抗PCNA抗体を用いて免疫染色を行った結果、移植血管の両端からの中心部にはまだ平滑筋細胞が定着しておらず、周囲の正常血管平滑筋細胞が分裂・増殖し、脱細胞化血管を足場として伸展していることが明らかとなった。なお、増殖過程の抗SMA抗体陽性細胞は抗PCNA抗体にも陽性であった。
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Research Products
(1 results)