2011 Fiscal Year Annual Research Report
静脈奇形の脂肪酸解析~静脈奇形研究モデルの確立を目指して~
Project/Area Number |
22791723
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江尻 浩隆 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (70529552)
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Keywords | 組織培養・移植学 / 静脈奇形 |
Research Abstract |
本年度は、手術で得られた正常動脈5検体、正常静脈3検体、静脈奇形1検体に対して脂肪酸解析を行った。それぞれ顕微鏡下で血管成分以外(血液、脂肪など)を取り除いた。続けて、内皮のみの剥離を試みたが、困難であったため、血管成分全体を解析することとした。得られた血管成分に対し全組織内脂肪酸および細胞膜脂肪酸の解析を行った。 結果:正常静脈と静脈奇形では、脂肪酸組成に大きな差を認めなかった。また、正常動脈は、全組織内脂肪酸組成において、正常静脈と静脈奇形と比べて、ステアリン酸、飽和脂肪酸、アラキドン酸、必須脂肪酸が多く、オレイン酸、単不飽和脂肪酸が少なかった。そして、細胞膜脂肪酸組成においては大きな差を認めなかった。考察:正常静脈と静脈奇形が、血管成分全体の脂肪酸組成に、大きな差がない可能性が示唆された、本研究は、正常静脈と静脈奇形の増殖能の差が、脂肪酸組成の差と関連があるのではないかという疑問から始まっているため、このことは重要な結果といえる。また、昨年度の培養血管内皮細胞の脂肪酸解析結果と同様に、動脈と静脈は脂肪酸組成が異なることが示唆された。検体数がまだ少ないこと、血管成分全体で解析を行っていることから、まだ正確な結論を導き出すことは難しいが、今後は、検体数を増やし、また血管成分を分離させた上での解析を行って、検討していきたい。
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