2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療応用に向けた移植脂肪由来幹細胞の生体内動態と末梢神経再生促進メカニズムの解明
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22791727
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
素輪 善弘 京都府立医科大学, 医学部・医学研究科, 助教 (80468264)
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Keywords | 幹細胞 / 再生医療 / 神経再生 / 脂肪 |
Research Abstract |
本研究では、脂肪由来幹細胞の末梢神経損傷治療への応用を探索する目的で、脂肪組織由来幹細胞(ADSC)の神経再生促進効果のメカニズムを明らかとすることを企図し、この研究から得られる知見により、自家組織や人工神経を凌駕する有効なハイブリッド型神経の作成・臨床応用への発展を将来的に目指している。今年度はADSCのSchwann細胞への分化メカニズムの解明と有効な方法を確立するため従来の方法(レチノイン酸やβメルカプトエタノール等)に加えて、ADSCに神経堤形質を誘導できるという仮説を基に、ES細胞研究等の知見で中胚葉/神経堤形成に必須であることが明らかとなってきているBMP/Wntシグナリングに着目し、その制御によるSchwann細胞分化の可能性を探索した。現在Schwann細胞様細胞への誘導段階に至っているが、それらの遺伝子プロファイルがSchwann細胞と異なることも明らかとなり、この作成したSchwann細胞様細胞がどの程度機能的な働きをするのかを含めて引き続き研究中である。 また脂肪組織由来幹細胞(ADSC)が分泌する液性因子に注目し、この末梢神経再生促進作用について、培養シュワン細胞の生存・増殖及び後根神経節細胞の生存・突起伸長への効果を指標に検討した。同時に、臨床応用を視野に採取部位・年齢によってADSCの細胞特性及び由来液性因子の効果に違いがみられるかについての検証を行った。ADSCは採取部位・年齢に関わらず比較的均一な特性を維持しており、シュワン細胞の生存・増殖または後根神経節細胞の生存・突起伸長を促す高い能力を有してることが明らかとなった。これらはADSCの末梢神経再生への応用が期待される結果と考え、神経生理学及び再生医療学の分野で、この内容について学会発表(第19回日本形成外科学会基礎学術集会,2010,9月,横浜,日本再生医療学会,2011,3月,東京)を行った。現在、この発表に基づいた論文を執筆中である。
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