2010 Fiscal Year Annual Research Report
新鮮遺体を用いたMDCTによるリンパ管立体解剖の解析
Project/Area Number |
22791735
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山崎 俊 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60464856)
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Keywords | リンパ管 / MDCT / 解剖 |
Research Abstract |
新鮮遺体の下肢のリンパ管造影に成功した。さらにMDCT(multi detector computed tomography)を用いて造影した下肢の三次元画像の取得に成功した。新鮮遺体を用いたリンパ管の研究において、CT撮影に成功した発表は世界的にまだ認められない。 リンパ管の造影法においては既に論文発表のあるSuami法に改良を加えてCT撮影に適合した造影剤を注入する事に成功した。具体的にはリンパ管刺入時に35Gの特殊な計の細い針を使用する事により造影の効率を上げる事ができた。さらにSuami法で用いられていた造影剤はCT撮影時にはCT値が高すぎるため造影剤の改良を行い、適切なCT値で撮影する事に成功した。 下肢の表在リンパ管には大伏在静脈に沿って中枢へ向かう経路と、小伏在静脈に沿って中枢へ向かう経路が存在する事が知られている。しかし新鮮遺体を用い写真でこれらの経路を示した文献は少なく、レントゲン画像、特にCTによる三次元画像は認められない。造影が成功した4下肢のうち、1下肢は大伏在静脈に沿った経路のみ描出に成功し、1下肢は小伏在静脈に沿った経路のみの描出に成功した。2下肢は大伏在静脈、小伏在静脈に沿った2つの経路の描出に成功した。これにより、下肢の2つの表在リンパ管経路の相関関係を把握する事ができた。目的としていた鼠径リンパ節でのリンパ流であるが、実験開始時の想定通り、小伏在静脈に沿った経路では一部鼠径リンパ節を介さずに外腸骨リンパ節に達していた。つまり、下肢の悪性腫瘍に対する鼠径リンパ節廓清時には一部鼠径リンパ節を介さない経路があるという認識を術者は持たなければならない。これを証明する事ができた。
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