2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性潰瘍に対するハイブリッド型生体外増幅血管幹細胞による新血管再生治療の開発
Project/Area Number |
22791737
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 里佳 東海大学, 医学部, 助教 (70509827)
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Keywords | 再生医療 / 糖尿病 / 糖尿病性潰瘍 / 血管内皮前駆細胞 / 幹細胞移植 / 創傷治癒 / 生体外増幅培養 / 血管再生能力 |
Research Abstract |
糖尿病(DM)性下腿潰瘍は、従来、有効な治療法が存在せず、未だに下腿切断を余儀なくされる症例が多いことから新たに有効性が確実な治療法の開発が切望される。近年、自己末梢血中の未分化血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell=EPC)移植による血管再生療法の臨床試験が当該施設で行われているが、DM患者では本質的に末梢血中EPC(CD34+細胞)の数、内皮細胞分化能の低下を認め、十分な移植治療効果が得られていない。我々は、DM患者EPCの生体外培養により分化能及び血管再生能が回復することを見出し、末梢血中CD34+細胞の生体外『再教育』による分化増幅培養EPC移植療法の開発を目的として基礎研究を行ってきた。しかし、DM患者末梢血CD34+細胞単独培養では、本細胞の機能的分化能は回復するが、増幅による細胞数の獲得が不十分であることが判明した。そこで、末梢血中には、血管形成促進性血液細胞が存在し、ある細胞はEPCの細胞活性を促進するとの報告からEPC分化増幅培養法の改良法として、これらaccesory細胞と共培養を行うことにより、真にEPCの分化増幅が可能な「EPCハイブリッド分化増幅法」を開発し、その移植効果を検証することを目的とした。平成22年度の研究成果としてハイブリッド型無血清生体外培養増幅法の開発を行った。 ヒト末梢血CD34陰性細胞と陽性細胞を混合培養することによりEPCを効率よく増幅でき、血管再生能力も数十倍に改善できた。マウス下肢虚血モデルにおいて従来の血清生体外培養増幅法にくらべハイブリッド型無血清生体外培養増幅法のほうがより高い血流改善、組織内血管形成を認めた。今後、ハイブリッド型無血清生体外培養増幅法の有効性を糖尿病患者末梢血においても確認し、糖尿病性潰瘍に対する新しい血管再生治療としての臨床研究へ進める準備を行う予定である。
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Research Products
(14 results)