2011 Fiscal Year Annual Research Report
静水圧を負荷した脂肪組織由来幹細胞による生体内軟骨再生
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22791739
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小川 令 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70398866)
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Keywords | 軟骨再生 / 静水圧 / 脂肪組織由来幹細胞 / コラーゲン / バイオプロセッサー / 力学的刺激 / メカノバイオロジー / 再生医療 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、静水圧を負荷した、ヒト由来脂肪組織由来幹細胞とコラーゲンゲルを用いた軟骨再生を行った。本研究により、三次元組織再生において、静水圧の負荷は細胞の分化・増殖に有用であることを示したと同時に、脂肪幹細胞およびコラーゲンゲルの軟骨再生での有用性を示すことができた。昨年に引き続き、以下の方法にて研究を繰り返し、データを信頼できるものとした。静水圧を負荷するバイオプロセッサーを用い、コラーゲンゲルに懸濁した脂肪組織由来幹細胞の潅流培養を試みた。1×10^6個のヒト脂肪組織由来幹細胞を、I型コラーゲン溶液に懸濁しパウチに入れ、細胞増殖培地(DMEM+10%FBS+1%ABAM)にて24時間培養した後、バイオプロセッサーでの灌流培養を行った。バイオリアクター内では軟骨分化誘導培地を用いた(DMEM+1%FBS+1%ABAM+10ng/ml TGF-beta1+1x10^<-7>molデキサメサゾン+50ug/mlアスコルビン酸+1mMピルビン酸ナトリウム+40ug/ml 1-プロリン)。静水圧は0-0.5MPa,0.5Hzの周期的負荷とし、潅流速度は0.1ml/min、37℃、3%O_2、5%CO_2と設定した。実験対照群として、同じバイオリアクター内で静水圧負荷を行わない大気圧群を設定した。計4週間培養し、ウサギの背部皮下に移植後、1週ごとに組織学的解析・定量解析を行った。培養を開始してから2週間後より、両群ともにII型コラーゲンをはじめとする軟骨組織特異的な細胞外マトリックスの蓄積を認めたが、静水圧負荷群は大気圧群に比べて優位にその蓄積量が多かった。また、静水圧負荷群では細胞数の減少が認められなかったが、大気圧群では、培養開始後2週間で細胞数がピークに達し、その後減少した。ヒト脂肪組織由来幹細胞を用いた軟骨再生では、コラーゲンスポンジのみならずコラーゲンゲルも有用であり、さらに静水圧負荷が軟骨再生に重要であることが示唆された。
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