2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮内での腫瘍細胞の増殖と拒絶を制御する免疫細胞と因子による新しい癌根治療法の開発
Project/Area Number |
22791740
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
井畑 峰紀 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20548359)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / マクロファージ / Meth A線維肉腫細胞 / INF-γ / 細胞障害性Tリンパ球 |
Research Abstract |
平成22年度の計画とその成果 a)皮膚における腫瘍拒絶のエフェクター細胞の同定とIFN-γの関与について Meth A腫瘍細胞を移植(皮内投与)し経時的にH.E.染色を行うと、5~10日目に腫瘍は周囲の炎症細胞と共に減弱し、18~21日目には消失した。抗F4/80抗体を用いて免疫染色を行うと、5~10日目にF4/80陽性マクロファージが腫瘍周囲と筋膜に浸潤していた。18~21日目には筋膜にF4/80陽性マクロファージが少し存在するのみだった。 BALB/c IFN-γノックアウトマウスにMeth A腫瘍細胞を移植し、周囲にPBSとIFN-γを投与すると、PBS投与群では腫瘍拒絶できず、IFN-γ投与群では腫瘍は拒絶された。 以上から、腫瘍拒絶にはINF-γが必要でマクロファージが関与している可能性があると考えられた。 2)皮膚における腫瘍拒絶の際に浸潤する細胞の種類、経時変化、細胞傷害活性について Meth A腫瘍細胞の移植部の皮膚をプロテアーゼ、コラーゲナーゼ、DNAase処理して、遊離細胞を回収した。それらの細胞を蛍光標識抗体で染色し、セルソーターを用いて解析すると、浸潤する細胞のphenotypeは、移植5~12日後ではCD11b、Ly-6C、F4/80陽性のマクロファージのような骨髄系細胞が大部分を占め、C8、CD4陽性のリンパ系細胞や、NK-1.1陽性のNK細胞の浸潤はほとんどなかった。 腫瘍に対しての傷害性を調べる為に、細胞を蛍光標識抗体で染色し、セルソーターを用いて腫瘍から分離、それぞれの細胞(顆粒球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球)のMeth A細胞に対する細胞傷害活性を、放射性同位元素(Na_2^<51>CrO_4)を取り込んだMeth A細胞からの^<51>Cr release assayを用いて細胞傷害活性を測定した。皮内移植後5日目で最も高く、主にCD11b陽性、CD11a陽性細胞が主体であった。CD8陽性細胞やNK-1.1陽性細胞の分画には傷害活性を認めなかった。以上から、皮膚における腫瘍拒絶の主体はマクロファージが関与していると考えられた。
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Research Products
(1 results)