2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮内での腫瘍細胞の増殖と拒絶を制御する免疫細胞と因子による新しい癌根治療法の開発
Project/Area Number |
22791740
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
井畑 峰紀 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20548359)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / マクロファージ / Meth A繊維肉腫細胞 / IFN-γ / 細胞傷害性Tリンパ球 / ワクチン効果 |
Research Abstract |
平成23年度の計画とその成果 1.皮膚へ移植後、拒絶したマウスの腹腔内に同じ腫瘍を移植した時拒絶するエフェクター細胞の同定について (1)Meth A腫瘍細胞を同種同系の未処理BALB/cマウスの腹腔内に移植すると、腫瘍細胞は局所で増殖し続け約2週間後にマウスは死亡した。しかし、Meth A腫瘍細胞を皮内接種後1ヶ月(皮内拒絶後約10日)のマウスにMeth A腫瘍細胞を腹腔内移植すると、Meth A腫瘍細胞は腹腔内でほとんど増殖せず拒絶された。以後再発は認めなかった。以上からMeth A腫瘍細胞の同種同系マウス皮内投与にワクチン効果があると考えられた。 (2)Meth A腫瘍細胞を皮内免疫したマウスの腹腔内へ移植したMeth A腫瘍細胞の拒絶時、腹腔内に浸潤する細胞を腹水の遠心分離後に回収した。種々の細胞の表面抗原を蛍光標識抗体で染色し、セルソーターを用いてphenotypeの比率と経時的な変化を定量的に解析した。種々の浸潤細胞(顆粒球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球)をセルソーター単離し、Meth A腫瘍細胞に対する細胞傷害活性を、放射性同位元素を(Na_2^<51>CrO_4)を取り込んだMeth A腫瘍細胞からの^<51>Cr release assayによって測定した。拒絶部位へ浸潤する宿主細胞の細胞傷害活性は、腹腔内移植後5日で最も高く、主たるエフェクター細胞は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)であった。以上から腹腔内における腫瘍の細胞の拒絶の主体は、CTLが関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が進まない時や判断が難しいときに、同種異型の腫瘍や皮膚を移植部よりAllograft-Inlduced Macrophage(AIM)を発見した研究機構の吉田龍太郎 研究教授に指導や相談を御願いしている。また、研究機構技術員の上野照生 技師長補佐に組織染色、免疫染色の作製、研究支援部門(病理学教室兼任)の下川要 技術長補佐にセルソーターの使用法、実験動物センター中平幸雄 主任技術員に動物の飼育と交配についての指導を仰いでいる。 周囲のサポート体制がきっちりしているため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
同種同系マウス皮内への腫瘍移植後、腫瘍が一旦増殖後に拒絶され、増殖することなく拒絶されるメカニズムにはIFN-γの必要性であった。マウス皮内へ移植した腫瘍細胞の自然拒絶では、TAMの浸潤はほとんどなく、エフェクター細胞はマクロファージと好中球であったことから、CTLやNK細胞以外の免疫担当細胞による腫瘍拒絶機構がさらに解明することで、新しい癌治療法の開発が期待できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)