2011 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザにおけるホスホリパーゼA2を中心とした脂質代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
22791744
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大戸 貴代 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (80511378)
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Keywords | 脂質生物学 / ホスホリパーゼA_2 / インフルエンザ / 脂質メタボローム |
Research Abstract |
本研究は、インフルエンザウイルス感染に伴う生理活性脂質の包括的動態解析を脂質メタボロームの手法によって行い、ホスホリパーゼA_2(PLA_2)遺伝子群を中心とした代謝機構の病態生理学的意義の解明を目指す研究である。平成22年度には、「感染によって発現が誘導される細胞質型PLA_2(Inducible-cPLAI_2)をはじめとする脂質代謝関連遺伝子群の発現パターンの解析」、「in vitroでのインフルエンザ感染実験系の確立と予備データの取得」、「質量分析計による脂質メタボローム解析」の3つの研究を実施する計画であった。いずれの項目に関しても計画通りに遂行することができた。平成23年度には、(1)遺伝子改変マウスを用いたin vivo解析(2)PLA_2に関連したリン脂質代謝系の人為的な制御による治療の可能性の検討を行う計画であった。既に確立済みであったマウスICU解析系によって呼吸機能等の経時的解析を生理活性脂質代謝酵素遺伝子欠損マウスや自然免疫関連遺伝子欠損マウスを用いて進め(1)、脂質メタボローム解析によって見出していた特徴的な挙動を示す脂質メディエーター群のインフルエンザウイルス感染への寄与を検討した。また、病態を引き起こしたマウスに対する各種脂質メディエーター投与の効果(2)を評価した。結果、PLA_2によって代謝制御されうる脂質メディエーターのうち、インフルエンザウイルス感染において特徴的な挙動を示す特定の分子がその病態を抑制的に制御している可能性を見出した。この結果は、インフルエンザの感染制御が特定の生理活性脂質によって行われていることを示唆するものであり、インフルエンザ感染の分子病態のさらなる解明において重要な知見であるといえる。
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