2011 Fiscal Year Annual Research Report
救命救急センターにおける重症度、生存率と血漿遊離核酸濃度の関連性の検討
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22791748
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青山 倫子 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (40566121)
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Keywords | 血漿遊離核酸濃度 / 敗血症 / 生存率 / APACHEII / SOFA |
Research Abstract |
本研究では救命救急センター搬入患者血漿からDNAを抽出し、血漿遊離DNA濃度と死亡率、SOFAスコアの推移に関連性があるかを検討するものである。癌分野などで診断マーカーとして検討されている血漿遊離DNAを、新規の重症度判定マーカーとして、救急領域での利用が可能かを模索するものであり、年間60例の採取を目標としている。血漿遊離DNAの定量は、既報(Saukkonen et.al. Clinical Chemistry 54:1000-1007, 2008.)から、ヒトβグロビン遺伝子をスタンダードに用い、6.6pgのDNAをlGE(genome equivalents)として解析した。平成23年度は平成22年度よりも詳細な区分を設け、敗血症と非敗血症患者に分けるだけでなく、緊急手術の有無や、5日間の血漿遊離核酸濃度の推移などを検討した。検体数は平成22年度の60名に加え、23年度で更に54名の参加が得られ、検体数は114名となったが、基礎疾患で癌など、血漿遊離核酸濃度に関連する疾患を持つ患者を除外したため、22年度、23年度で合計81名の解析が終了した。敗血症は45名、非敗血症は36名であり、血漿遊離核酸濃度の5日間の推移を検討すると、緊急手術を要した場合には敗血症患者では非敗血症患者に比べて血漿遊離核酸濃度が低い(p<0.05)ことが明らかとなった。非敗血症患者では5日間の血漿遊離核酸濃度は生存例に比べ死亡例で有意に多い(p<0.05)ことが明らかとなった。また、搬入後3日間の平均血漿遊離核酸濃度が16kGE/mlを超える場合には、敗血症患者での生存率が低い傾向(p=0.08)がみられ、搬入時のAPACHE IIスコアと弱い相関関係(相関係数0.22)にあった。SOFAスコアとの相関では、搬入2佃目の血漿遊離核酸濃度は3日目のSOFAスコアと弱い相関関係(相関係数0.22)にあり、今後敗血症などとの関連も含め解析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体数は予定通り年間50-70例集まっており、解析も順調である。基礎疾患や、経過などで血漿遊離核酸濃度に関係しそうな病態(癌など)や治療がある場合などを除外したため、現時点解析が終了しているのは81名となっているが、検討に十分な検体数が集まっている。また、解析作業も順調であり、兵庫医科大学との連携もうまく行われていることから、当初の計画通り、順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には敗血症、非敗血症だけでなく、さらに詳細な病態に区分し、検討を進めて行く予定にしている。また、23年度までに血漿遊離核酸濃度が翌日のSOFAスコアを予測出来るのではないかと考えられる様な結果が得られたため、その点に関しても病態を区分し、詳細に検討する予定である。また、平成22年度、23年度には学会発表などの成果発表ができなかったため、平成24年度には積極的に学会発表を行い、論文投稿の準備を進める予定にしており、既に海外学会などにも演題登録している。
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