2011 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性心不全に対する心筋細胞保護の分子機構ーサイトカインシグナル制御の視点から
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22791758
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
二又 誠義 久留米大学, 医学部, 助教 (70412509)
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Keywords | 敗血症 / 心不全 / ミトコンドリア / STAT3 |
Research Abstract |
8週令のBa1b/cマウスと心筋特異的SOCS3欠損マウス(以下SOCS3CKOマウス)にLPS(30mg/kg/mouse)を腹腔内投与し、両群で比較を行った。SOCS3CKOマウスではLPS投与6時間後より生存率を改善した。心エコーで両群の心機能を評価したところ、wild typeではLPS投与6時間後よりLVEFの減少、LVDdの拡大を認めたが、SOCS3CKOマウスではそれぞれを有意に抑制していた。心筋組織のDHE染色によりSOCS3CKOマウスではLPS投与6時間後のDHE陽性細胞の発現を抑制しており、LPS投与後の酸化ストレスの発生を抑制していることが示唆された。Wild typeではLPS投与1時間後よりp-STAT3の発現が増強したが、6時間後以降ではSOCS3の発現により抑制されていた。SOCS3CKOマウスではLPS投与後のp-STAT3の発現は増強し持続していた。SOCS3CKOマウスではBc1-x1、Bc1-2はLPS投与後6時間後より発現が亢進し、LPS投与6時間後のチトクロムcの細胞質への放出を抑制していた。またSOCS3CKOマウスではLPS投与後のOxphos complex I、皿の発現の低下を抑制していた。これらはSOCS3CKOマウスではLPS投与後にミトコンドリア膜の安定化が行われていたことが示唆された。SOCS3CKOマウスにおいてLPS投与後にMnSOD,catalase,glutathione peroxidase,thioredoxin reductase,peroxide thioredoxinのmRNAが亢進していた。以上より、SOCS3CKOマウスではLPS投与後のp-STAT3の増強により、心筋内の抗酸化物質の発現の増加、ミトコンドリア膜の安定化により、心筋内の酸化ストレスの発生を抑制することで、心機能を保持し生存率を改善したことが示唆された。
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