2010 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸・ピロリン酸代謝異常におけるセメント質および骨形成機序の解明
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22791764
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70335660)
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Keywords | リン酸 / ピロリン酸 / PC-1 |
Research Abstract |
本年度は、まず初めに、ヌクレオシド3リン酸を加水分解してピロリン酸を産生する機序により生体内のリン酸・ピロリン酸代謝を調節しているPC-1遺伝子に異常が生じて正常なピロリン酸を産生出来なくなった結果、リン酸・ピロリン酸代謝異常となったマウスの歯周組織を用いて、病理組織学的および免疫組織化学的検討を行った。これらの検討に用いる組織検体採取のために、PC-1遺伝子異常マウスの交配と飼育を行った。PC-1遺伝子異常がヘテロ状態で維持されている雌雄の個体を用いて交配を行い、生まれてきた子供のPC-1遺伝子の異常状態をチェック後、PC-1遺伝子の異常がホモ状態で保存されている子供をPC-1遺伝子異常リン酸・ピロリン酸代謝異常マウス群とし、PC-1遺伝子の異常がホモ状態で認められない子供をPC-1遺伝子異常リン酸・ピロリン酸代謝異常マウス群に対する正常コントロールマウス群として、特定の週齢まで飼育を行った後、歯周組織のサンプル回収を行った。 PC-1遺伝子異常リン酸・ピロリン酸代謝異常マウス群と正常コントロールマウス群における6週齢♂を選択し、下顎骨のサンプルを回収した。これら二つの群におけるPC-1発現を観察するために組織切片を作製し、PC-1抗体を用いた免疫染色により歯周組織におけるPC-1発現を検討した。二つの群の下顎第一臼歯歯周組織の前額断の切片を用いて免疫染色を行うと、正常コントロール群の下顎第一臼歯の歯根膜部に面した歯槽骨表層の骨芽細胞にPC-1の陽性反応が認められた。さらに、セメント質表層のセメント芽細胞層には骨芽細胞層よりも強いPC-1の陽性反応が認められた。一方、PC-1遺伝子異常リン酸・ピロリン酸代謝異常マウス群では、骨芽細胞層およびセメント芽細胞層にPC-1の陽性反応はほとんど認められなかった。
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Research Products
(2 results)