2011 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸・ピロリン酸代謝異常におけるセメント質および骨形成機序の解明
Project/Area Number |
22791764
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70335660)
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Keywords | リン酸 / ピロリン酸 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続きPC-1遺伝子異常マウス雄6週齢から採取し作成した下顎骨組織標本を用いた検討を行った。前年度における検索の結果、PC-1遺伝子異常マウスでは、免疫組織化学染色においてPC-1の陽性所見がほとんど認められなかったのに対して、対照群のマウスでは、セメント芽細胞層と骨芽細胞層に陽性所見が観察され、その陽性所見はセメント芽細胞層の方がより強い陽性所見であったことから、歯周組織を構成する歯根膜、歯槽骨、セメント芽細胞の構成比率を比較検討するために、歯周組織におけるセメント質と歯根膜幅径の測定を行った。下顎第一臼歯遠心根において、これらの測定を行うと、対照群マウスの下顎第一臼歯遠心根のセメント質幅径は平均1.2umであったが、PC-1遺伝子異常マウスの下顎第一臼歯遠心根のセメント質幅径は平均35.0umであり、対照群マウスに比べてPC-1変異マウスでは下顎第一臼歯遠心根のセメント質幅径が約30倍に肥厚していた。一方、下顎第一臼歯遠心根における歯根膜の幅径は対照群マウスとPC-1遺伝子異常マウスの間に有意な差は認められなかった。 さらに歯周組織における硬組織基質の発現分布を検討するために、骨組織およびセメント質に豊審に含まれるオステオポンチンの免疫組織化学染色を行った。オステオポンチン陽性所見は、対照群マウスとPC-1遺伝子異常マウスの歯槽骨では、その表層部分および骨改造線に沿って認められ、対照群マウスとPC-1遺伝子異常マウスのセメント質ではその全層に渡ってオステオポンチン陽性所見が認められ、両者におけるオステオポンチンの発現分布に大きな変化は見られなかった。
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