2011 Fiscal Year Annual Research Report
セメント芽細胞マーカー遺伝子f-spondinの機能解明
Project/Area Number |
22791767
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北川 雅恵 広島大学, 病院, 助教 (10403627)
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Keywords | セメント芽細胞 / F-spondin / トランスジェニックマウス / 歯周組織 |
Research Abstract |
F-spondin過剰発現によるセメント質形成能への影響をin vivoで検討するために、昨年度はF-spondinトランスジェニック(SPON1-Tg)マウスを作製した。今年度は作製したSPON1-Tgマウスの組織学的検討を全身の各臓器(脳,舌,甲状腺,肺,心臓,胃,肝臓,膵臓,脾臓,腸,腎臓)において行ったが、wild typeマウスと比較して明らかな違いは認められなかった。次に、セメント質形成を比較するために、10-12週齢のwild typeおよびSPON1-Tgマウスの下顎臼歯の歯根を用いて検討した。HE標本ではSPON1-Tgマウスの下顎臼歯歯根は、wild typeマウスに比較して有細胞性セメント質の形成促進がみられたが、有意な差は認められなかった。 次に、ノックアウトマウスを作製する予定でコンストラクトの作成を検討していたが、トランスジェニックマウスで有意差が認められなかったことより、本研究ではノックアウトマウスの作製を中止し、in vitroでのsiRNAを用いたF-spondinノックダウンによる検討を行った。我々はこれまでの研究でF-spondinがAa-LPS刺激において発現が増強すること明らかにしている。そこで、F-SpondinのSiRNAによる炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1β,IL-6,IL-8)の発現を検討したが、いずれのサイトカインのmRNA発現においてもF-spondinノックダウンによる有意な差は認められなかった。一方、F-spondinを過剰発現させた歯周靭帯細胞株である(HPL-SPON1)では、親株であるHPLと比較して炎症性サイトカインのうちIL-6の発現が有意に抑制され、F-spondinを発現しているヒトセメシト芽細胞株でもHPLと比較してIL-6の発現低下が認められた。Aa-L内刺激によるPGE2のタンパク産生量は、HPLおよびHPL-SPON1いずれにおいてもAa-LPSにより促進されたが、HPLと比較するとHPL-SPON1ではPGE2産生量は低かった。 以上の結果より、セメヒト芽細胞マーカー遺伝子であるF-spondinはセメント質組織形成だけでなく、炎症性サイトカインの発現においても関与し、歯周組織の恒常性維持に関わっている可能性が示された。
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