2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791769
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 文紀 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70452589)
|
Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 遺伝子発現 / 病原性 |
Research Abstract |
伝染性膿痂疹(とびひ)および新生児に発症するブドウ球菌性熱傷様症候群の原因毒素である黄色ブドウ球菌表皮剥脱毒素の産生制御機構を新規に探索・解明することを目的とし、当該年度においてまず初めに、既知のグローバルレギュレーターであるAgr、Sar family、二成分制御機構、シグマB因子によるET産生制御機構を解明し、Agr,SaeRSがeta遺伝子の転写を促進的にSarS,SarA,SigBが抑制的に転写調節を行うことをinfection and immunityに投稿し、印刷中である。この成果をもとに新規ET産生制御因子ORF I.D.MW2236であるSptA(Staphylococcal pathogenicity-related transcription factor A)およびORF I.D.MW2232であるSptB(Staphylococcal pathogenicity-related transcription factor B)のETA産生制御機構の解明を試みた。その結果、SptAは遺伝子欠損株のDNAマイクロアレイ解析および定量RT-PCR解析により、eta遺伝子の転写促進因子であるSaeRSおよびRNAIIIの転写量を抑制的に、転写抑制因子であるSarSの転写を促進することによりeta遺伝子の転写を制御していること、さらにSptAが黄色ブドウ球菌の病原性因子をグローバルに制御する因子であることが示唆された。一方、SptBは遺伝子欠損株のDNAマイクロアレイ解析および定量RT-PCR解析により、eta遺伝子の転写促進因子であるRNAIIIの転写量を抑制的に、さらにSptBタンパク質とeta遺伝子領域のDNAとのゲルシフトアッセイにより直接結合することにより転写を抑制していることが示唆された。これらの成果により2種の新規転写調節因子SptAおよびSptBは、黄色ブドウ球菌の病原性因子の制御機構において最も重要なRNA皿の転写を制御することにより、グローバルに病原性因子の産生を制御することが強く示唆されている。さらに、RNAIIIの転写を抑制的に制御する因子はこれまで無く、新規な知見である。
|
Research Products
(3 results)