2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原因菌表層タンパクの新規病原性因子の同定及び解析
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22791772
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大貝 悠一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40511259)
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Keywords | 細菌学 / 歯周病原因菌 / 外膜タンパク |
Research Abstract |
本年度は歯周病原因菌Tannerella forsythiaの表層タンパクの一部であるSurface layer (S-layer) proteinの病原性に着目した解析を中心に行った。調製したT.forsythiaの表層タンパク画分のSDS-PAGEにおいて100kDa以上に2種類のタンパクの存在が明らかとなった。In-gel Trypsin消化産物のTOF-MS解析により、これらがS-layer構成タンパクであるTfsA及びTfsBであることが明らかになった。TfsA及びBの病原性解析のため、これらのタンパクをタンパク発現プラスミド(pQE60)により大腸菌で発現させる実験を行ったが、大腸菌表層におけるTfsA及びBの発現は認められなかった。次にTfsA、TfsBの欠損株及びTfsAとBの2重欠損株を用いた病原性解析を行った。結果、TfsA及びBの欠損株は血清への抵抗性が減少することが明らかとなった。また、Tannerella forsythiaは口腔内のStreptococcus属と共凝集することにより、プラーク形成の一旦を担うことが知られているが、TfsA及びBの欠損株において、Streptococcus salivarius及びStreptococcus sanguinisとの共凝集が完全に阻害された。これらの発見により、Tannerella forsythiaは菌体際表層に存在するS-layer構成タンパクTfsA及びBを用い、口腔内において宿主免疫を回避しプラーク形成を促進していることが示唆された。本研究によりTannerella forsythiaの表層タンパクS-layerが歯周病原因菌の口腔内定着に大きくかかわる因子であることを明らかにした点において意義があると考えられる。
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