2010 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムイメージングを用いたHertwig上皮鞘断裂メカニズムの解明
Project/Area Number |
22791774
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大津 圭史 岩手医科大学, 歯学部, ポストドクター (60509066)
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Keywords | 歯根 / 発生 / Hertwig上皮鞘 / EMT / ROCK |
Research Abstract |
歯根形成で見られるHertwig上皮鞘(HERS)断裂のメカニズムには未だ多くの議論が残っている。われわれは、Rhoタンパク下流のエフェクター分子ROCKの抑制が、HERS由来培養細胞に上皮-間葉転換(EMT)を引き起こすことを見いだした。そこで,本研究では、in vitroの現象が生体内でも実際に起きているかを検証する目的で,新規リアルタイムイメージング法を用いたHERSの細胞動態の観察と、Rhoシグナルの機能獲得実験と機能喪失実験を組み合わせ、HERS断裂とEMT、さらにそれに関わるRhoシグナルの役割の詳細を明らかにすることを計画した。 1.GFPマウスの歯胚組織を薄切培養し、HERS形成をリアルタイムで観察する方法を確立した。本研究に対しての最適な実験条件;薄切厚さ、培養液の組成、包埋剤、共焦点顕微鏡での画像取得のセッティングの検討を行い、指摘条件を決定した。この実験系を用いて、HERSが形成される際の細胞の動き、分裂、actinプロモーター活性をリアルタイムで観察することが出来た。この実験から、HERSが主に外エナメル上皮の分裂、伸張によって形成されることが実証され、この結果を現在論文にまとめ投稿準備中である。 2.マウス臼歯歯胚よりHERS由来細胞を単離培養し、HERS細胞株として樹立した。この細胞は、上皮由来細胞マーカー同様、間葉細胞マーカータンパクも発現し、TGF-βに刺激に対してさらに間葉細胞マーカー遺伝子、EMT関連遺伝子の発現量を増加させることが分かった。このことからHERS形成、断裂のプロセスにEMTが強く関わっている可能性が示唆された。またiPS細胞が神経堤細胞、歯原性間葉細胞へと分化誘導されるとき、HERS細胞と同様なEMT関連遺伝子の発現増加が見られることが分かった。これらの結果より、この細胞株が歯根形成における有用な研究ツールとして用いることができると考えられた。この結果の一部は論文としてまとめ、2011年BBRCにて発表し、さらに第53回基礎歯科医学会にて発表した。
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Research Products
(17 results)