2011 Fiscal Year Annual Research Report
トリプトファン誘導体およびDexを用いた骨芽細胞分化促進法の確立と作用機構の解明
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22791778
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三上 剛和 日本大学, 歯学部, 助教 (80434075)
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Keywords | トリプトファン誘導体 / 骨芽細胞 / Osterix |
Research Abstract |
序論:本研究では、骨粗鬆症や骨形成不全症などの治療および予防への応用を目的とし、トリプトファン誘導体を用いた骨芽細胞分化促進方法の確立とその作用機構の解明を目指す。これまでの研究において、トリプトファン誘導体の骨芽細胞促進効果はそれらを作用させる細胞の分化レベルに大きく依存することが明らかになった。しかしながら、細胞の分化レベルに依存したトリプトファン誘導体の作用効果の違いに関与する細胞内シグナル伝達経路や関連因子は不明である。そこで、網羅的な遺伝子発現量解析を行い、トリプトファン誘導体による骨芽細胞分化誘導において重要な役割を担う細胞内シグナル伝達経路や関連因子の同定を試みた。 方法:ラット頭蓋冠由来の未分化間葉系幹細胞(ROB-C26)に骨芽細胞分化誘導サイトカインであるBMP-2を作用させ、骨芽細胞へ分化誘導するとともに、さまざまなタイミングでトリプトファン誘導体を培養系に添加し、骨芽細胞分化関連因子の網羅的な発現量解析を行った。 結果:ROB-C26細胞にBMP-2を作用させると骨芽細胞分化誘導転写であるOsterixの発現が誘導され、ROB-C26細胞は骨芽細胞へと分化し、石灰化した骨様結節を形成する。しかし、トリプトファン誘導体を培養の初期(培養0日目~6日目)に作用させた場合には、Osterixの発現が抑制され、石灰化物の形成も抑制された。一方、培養後期(培養9日目~12日目)に作用させた場合には、Osterixの発現は抑制されず、BMP-2を単独で作用させたときよりも顕著にいくつかの骨基質タンパク質の発現量が増加した。これらの結果から、トリプトファン誘導の骨芽細胞分化に対する作用効果の相違には転写因子Osterixが重要な役割を担っていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、既に当該研究室において確立された実験系を用いているため、実験の遂行にあたっての問題点は少なく、計画通りに研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に進展しているため、今後も当初の計画通りに遂行する。
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