2011 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療研究のための新規ヒト歯髄幹細胞マーカーの特定と歯髄内局在の解明
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22791780
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小林 朋子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10548283)
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Keywords | マイクロアレイ / 細胞・組織 / 再生医学 / 歯学 / 成体幹細胞 / 遺伝子 / シグナル伝達 / 分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は歯髄幹細胞マーカを特定し、歯髄組織内での局在を解明することである。 平成22、23年度を通して、「ヒト歯髄細胞クローンを用いた幹細胞の特性の解析、および細胞クローン間における特性の差異の明瞭化」を目的とし、ヒト歯髄由来初代培養細胞からコロニー形成能のある細胞を50クローン分離して長期間培養を継続した。各クローンの幹細胞マーカ発現の有無、多分化能等を解析した結果、(1)石灰化能と脂肪分化能をともに長期にわたって維持したクローンがあった。(2)石灰化能のみを長期にわたって維持したクローンがあった。(3)脂肪分化能のみを長期間維持したクローンはなかった。(4)石灰化能と脂肪分化能がともに長期間陰性のクローンもなかった。 また、平成23年度には、「幹細胞の特性を制御する機構における分子機能を反映した幹細胞マーカ候補分子の選定」を目標とし、上記の細胞クローンの中から、石灰化能と脂肪分化能がともに陽性で、かつ高い増殖能を維持したクローンと石灰化能のみが陽性で増殖能の低いクローンとをDNAマイクロアレイで比較解析した。適切な幹細胞マーカを特定する目的のために、ヘテロな細胞集団ではなく細胞クローンを用いることで、高精度な遺伝子発現データ解析を可能にすることが本研究の特色である。解析の結果、多分化能を長期間維持するクローンでは、石灰化能のみを長期間維持するクローンと比べて、幹細胞維持や細胞周期ならびに細胞分裂関連遺伝子の発現が上昇していた。この結果を第53回歯科基礎医学会および第48回日本口腔組織培養学会にて発表した。 さらに、DNAマイクロアレイのデータについて、バイオインフォマティクスを駆使して詳細に比較解析し、遺伝子発現変動による幹細胞の特性の制御機構を推定することと、幹細胞の特性を制御する機構における分子機能を反映した幹細胞マーカー候補分子の選定作業を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には、「ヒト歯髄細胞クローンを用いた幹細胞の特性の解析、および細胞クローン間における特性の差異の明瞭化」と「幹細胞の特性を制御する機構における分子機能を反映した幹細胞マーカ候補分子の選定」を目標とした。前者については年度内に結果をまとめて学会発表を行った。また、後者の目標については、幹細胞の特性を制御する機構の推定と、幹細胞マーカ候補分子の選定にほぼ目途がついた状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は当初の目標通り「歯髄幹細胞マーカ候補分子の検証と歯髄切片上のマーカ局在の解明」を推進する。 平成22、23年度で特性を解析した各細胞クローンについて、平成23年度に網羅的遺伝子発現解析で選定した幹細胞マーカ候補分子の発現を、qRT-PCRやウェスタンブロットで検証することにより、適切な幹細胞マーカを特定する。 さらに、特定した幹細胞マーカの局在を、ヒト歯髄組織切片上で免疫組織化学染色等により解明する。これにより、歯髄組織内の幹細胞の局在が明らかになる。 上記の結果を取りまとめ、学会発表と国際誌への論文投稿を行う。
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Research Products
(2 results)