2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病関連細菌の付着因子と血小板粘着凝集に関する基礎的研究
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22791783
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
長谷川 義明 朝日大学, 歯学部, 講師 (70460524)
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Keywords | 歯周病関連菌 / Porphyromonas gingivalis / Mfal線毛 / 短線毛 / PGN0291 / 微量成分 / 血小板凝集 / 自己凝集 |
Research Abstract |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisのMfal線毛には、主要成分をコードするmfa1遺伝子の下流から発現するPGN0289、PGN0290およびPGN0291が微量に含まれている。本研究は、これらの成分のうち、von Willebrand factorAドメインと類似な領域を持つPGN0291に注目し、その機能を解明することを目的とした。平成23年度では、主に以下3つの検討を行った。 (1)pgn0291相補株の作製 PGN0291の機能解析をすすめるために、pgn0291変異株に.pgn0291をin transに戻した相補株を作製した。得られた相補株におけるPGN0291の発現をウェスタンブロットによりタンパク質レベルで確認した。同様にpgn0289およびpgn0290相補株も作製した。 (2)菌体における微量成分の局在の検討 平成22年度の研究では、微量成分に対する抗血清とP.gingivalisの菌体を用いた凝集試験により、PGNO289は菌体の表面に露出している可能性が示唆された。そこで、本年度は抗Mfa1ニワトリ抗血清と抗PGN0289ウサギ抗血清を用いた二重標識免疫電子顕微鏡法により、Mfa1とPGN0289の局在を検討した。その結果、Mfa1が線毛のシャフトを形成しPGN0289がMfa1線毛の先端に位置していることが分かった。しかし、PGN0291の局在を明らかにすることはできなかった。 (3)pgn0291変異株の自己凝集およびバイオフィルム形成の評価 PGN0291の機能解析により、pgn0291変異株は自己凝集能が亢進していることを見出した。この表現型がバイオフィルム形成に影響を及ぼすことが考えられたことから、pgn0291変異株のバイオフィルム形成能を評価した。pgn0291変異株は親株と比較してバイオフィルム形成が有意に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pgn0289、pgn0290およびpgn0291相補株を作製することができた。また、抗PGNO289、抗PGN0290および抗PGN0291ウサギ抗血清を使用した免疫電子顕微鏡法による局在の検討を予定通り行うことができた。 一方、PGN0291の機能を明らかにするためにPGN0291の全長を含むリコンビナント(r)PGN0291タンパク質を作製し、ヘパリンや細胞外マトリックスとの結合性を調べる予定であったが、rPGN0291タンパク質を作製することがまだできていない。このことから、全体評価を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22~23年度に、pgn0291変異株から精製したMfa1線毛の性質の検討、pgn0291変異株および相補株を用いた機能解析を行ったが、Mfa1線毛はヘパリンや細胞外マトリックスなどとの強い結合は認められず、宿主組織との結合性を示唆する結果は得られなかった。また、PGN0291の局在についても、線毛の先端に位置していることを示す結果は得られなかった。しかし、微量成分の1つであるPGN0289は線毛の先端に局在していることを明らかにすることができた。この結果からPGN0289がアドヘジンとして機能していることが考えられる。次年度はrPGN0291タンパク質に並行してrPGN0289タンパク質を作製し、その機能解析を行う予定である。また、得られたpgn0289、pgn0290およびpgn0291相補株を用いてMfa1線毛の機能解析を引き続き行うことを予定している.
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Research Products
(7 results)