2011 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞と骨組織におけるAbca5の発現と生理機能の解析
Project/Area Number |
22791786
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
中川 大 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40397039)
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Keywords | ABCトランスポーター / Abca5 / 破骨細胞 / 骨代謝 |
Research Abstract |
申請者は、「ATP-binding cassette(ABC)トランスポーターが関与する生命現象及び疾患を同定する事」及び「ABCトランスポーターの生理機能を分子レベルで解明する事」をマイルストーンとして掲げている。そして、本申請課題では、破骨細胞の発生過程でmRNAの発現が誘導されるABCトランスポーターAbca5を研究対象として選定した。また、今年度は、「破骨細胞におけるAbca5の発現とその局在部位」及び「代謝性骨疾患にたいするAbca5の関連性」の評価に着手した。 破骨細胞におけるAbca5の発現とその局在部位を評価するために、野生型マウスの脛骨及び大腿骨から骨髄細胞を採取し、M-CSF、RANKL、TGF-β_1存在下で培養して破骨細胞を調製した。この細胞を象牙切片上で培養して免疫染色を施し、電子顕微鏡下にて観察を行ったが、抗体特異的な染色は認められなかった。また、野生型マウスの脛骨及び大腿骨の骨髄組織にたいしても免疫染色を施したが、抗体特異的な染色は認められなかった。この結果は、現在使用中の抗体が未変性のAbca5タンパク質を認識しない可能性を示唆している。 一方、6週齢になる雄および雌のAbca5遺伝子欠損マウス及び野生型マウス(各10-12匹)から採取した脛骨及び大腿骨をマイクロフォーカスX線CTシステムにて再解析した。解析の結果、得られた解析値の中央に分布する5点を選別して比較すると、Abca5遺伝子欠損雌マウスの骨密度と野生型雌マウスの骨密度との間に有意な差が認められた。この結果は、Abca5が雌マウスにおいて骨吸収の促進あるいは骨形成の抑制に関与している可能性を示している。今後は、測定値のばらつきの原因であると予測している「個体間の体長のばらつき」とAbca5の機能との因果関係について可能性を行う必要がある。
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