2010 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺分化過程におけるカテプシンEの役割と唾液腺悪性腫瘍の新規診査技術の開発
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22791790
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川久保 友世 九州大学, 薬学研究院, 特任助教 (70507813)
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Keywords | カテプシンE / 悪性腫瘍 / 腺分化 |
Research Abstract |
本研究は、唾液腺組織分化・発癌における細胞内アスパラギン酸プロテアーゼのカテプシンEの役割を追究し、さらに体内循環をしない(すなわち採取時の体内の状態や唾液腺の病態を正確に反映する)唾液を用いて、宿主内カテプシンEを標的分子とする唾液腺悪性腫瘍の早期診断法・予後予測法を確立することを目的として遂行されている。 本年度は、主にカテプシンE欠損マウスを用いた実験を行い、内在性カテプシンEの欠損が、唾液腺の分化異常を引き起こすことを免疫組織学的検討により明らかにした。カテプシンEの欠損により、腺組織の分岐形成、導管形成、終末部の上皮細胞分化が正常に行われず、分化マーカーの発現レベルの低下や異所性発現が認められた。このことは、本酵素が唾液腺細胞の分化度の指標になり得ることを示唆している。さらに、生化学的実験により、カテプシンEが唾液腺形成の如何なる段階で如何なる分子と相互作用することによって唾液腺上皮細胞ならびに腺房細胞の分化に関わっているのか解析を行った。その結果、今回同定した特定の分泌蛋白質をカテプシンEがプロセッシングすることが、唾液腺組織を構築する上で必須であることが見出された。来年度は、この結果の元に、引き続き本酵素とその分泌蛋白質との相互作用が細胞内のどのコンパートメントで行われているかを細胞蛍光免疫染色法を用いて明らかにし、本酵素が関わる唾液腺分化機構を明らかにする。 また、健常人唾液中カテプシンEについて、その評価基準を確立するため、その分子型、タンパク量、活性値について、解析を行った。カテプシンE蛋白量測定については、本酵素に対するモノクローナル抗体を作製後、ELISAを確立し、微量の蛋白量の差をも検出できるシステムを構築した。
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Research Products
(8 results)