2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791793
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中山 歩 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (10398290)
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Keywords | 味蕾 / 味覚 / 細胞分化 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本年度は、マウス胎生期の有郭乳頭での味蕾基底細胞の分化開始時期、味蕾分化に関与する各因子の関連性を明らかにするために、味蕾基底細胞マーカー因子であるShh,Prox1,Mash1と、味細胞分化への関与が報告されているSox2を用いた発現解析を行った。胎生12.5日では、有郭乳頭の構造は認められないが、乳頭形成領域の上皮全体にShhの発現が認められた。胎生14.5日では、乳頭構造が形成され、Shhの発現は乳頭上部の上皮に広く認められた。Shhの発現は、胎生16.5日では乳頭上部、乳頭溝内側壁に広く認められたが、胎生18.5日では乳頭溝内・外側壁に広く認められたものの、乳頭上部では一部の細胞へと限局した。Prox1の発現は、胎生12.5日からShhの発現細胞の一部に認められた。胎生14.5日でのProx1の発現は、乳頭上部のShh発現内に認められ、この発現の一部にMash1の発現が認められた。胎生18.5日でのProx1の発現は乳頭壁のShh発現内にも認められるようになった。一方、Sox2は、Shhと類似した発現パターンを示し、胎生12.5日ではProx1と共発現した。これらの結果より、胎生期のShh、Sox2は、有郭乳頭形成にも関与していると考えられたが、この発現内にProx1の発現が胎生12.5日から認められたことから、基底細胞の分化は有郭乳頭の形成開始と同時に開始されることが明らかとなった。また、Prox1の発現が乳頭上部で認められた後、乳頭壁に認められるようになったことから、基底細胞の分化開始は、乳頭上部が乳頭壁に先行して起こることが明らかとなった。基底部の細胞は味蕾内の伸長した細胞へと成熟するため、味蕾基底細胞マーカー遺伝子の解析は、味蕾分化のみでなく、成体での味細胞のターンオーバーのメカニズム解明にも非常に重要であると考えられるため、今後さらなる解析が必要である。
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