2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791793
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中山 歩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10398290)
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Keywords | 味蕾 / 味覚 / 細胞分化 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
哺乳類の味蕾では、絶えず新たな細胞が味蓄基底部から供給されるため、味蕾基底細胞の性質を明らかにすることは味蕾が正常に維持されるメカニズムを解明する上で重要である。これまでの解析で、成体の味蕾基底部に発現するShhとProx1を味蕾基底細胞マーカー因子とし、これらの遺伝子の発現開始時期を明らかにした。一方、成体の味蕾におけるProx1は、味蕾基底部に強く発現するだけでなく、味蕾内の伸長した細胞の多くにも弱い発現が認められることから、Prox1は成体での味細胞のターンオーバーのメカニズムを解析する上でも重要な遺伝子である。近年、Sox2が胎生期から成体にわたって、味細胞,味蓄周囲の細胞の分化に関与すると報告されているが、味蕾基底細胞との関連性については明らかになっておらず、Prox1とともにさらなる解析が必要である。本年度は、味蕾基底細胞とSox2の関連性を明らかにするために、マウス胎仔と成体の茸状乳頭、有郭乳頭、軟口蓋を用いて、Prox1とSox2の発現解析を行った。その結果、茸状乳頭では、Prox1とSox2が発現開始時に味蕾原器に限局し共発現する一方で、有郭乳頭と軟口蓋では、Prox1は味蕾原器に限局したが、Sox2は味蕾原器に限局していなかった。成体の味蕾では、Sox2が味蕾内の一部の細胞にのみ発現したが、Prox1は味蕾内の多くの細胞に発現していた。これらの結果より、味蕾の分化開始は、Sox2が味蕾原器に限局する前であってもProx1を発現する細胞の出現で示され、この細胞が味蕾へと分化する、また、Prox1が味蕾分化から成熟味蕾に釜るまで重要な役割を担う可能性があること示された。
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