2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤におけるBMPシグナルの関与の解明
Project/Area Number |
22791795
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
進 正史 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (70549261)
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Keywords | 口腔癌 / シグナル伝達 / 骨 |
Research Abstract |
口腔癌による顎骨浸潤は、患者の予後を大きく作用する要因の1つと考えられるが、その発症メカニズムはほとんど解明されていない。本申請課題では口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤のメカニズムを解明することを目的としている。骨には骨誘導因子(BMP)などの様々な増殖因子が多く含まれ、破骨細胞が骨を吸収すると破壊された骨中の増殖因子が放出されることで癌細胞に快適な環境が形成される悪循環(vicious circle)が生み出される。我々の研究グループは口腔扁平上皮癌細胞による顎骨浸潤の最初のステップである破骨細胞の分化誘導機構を解明してきたが(Tada T et al. 2005 Int J Cancer 2:253-262)、本研究でBMPによる癌細胞の形態変化に伴う悪性度の亢進が明らかにできれば癌による悪循環の2つのプロセスの分子メカニズムが明らかになる。 恒常的にBMPシグナルを活性化する(Kanomata K et al. 2009 Genes Cells 6:695-702)構成的活性型BMP受容体BMPRIACaを癌細胞に遺伝子導入すると、癌細胞をBMP刺激した場合と同様に細胞の形態変化が誘導された。構成的活性型BMP受容体を遺伝子導入した癌細胞をマウス咬筋部に移植したところ、親株と比較し顎骨浸潤が亢進していることが明らかとなった。 本研究による口腔癌の顎骨浸潤のメカニズムの解明は、学術的意義のみならず、顎骨浸潤の診断法の確立、分子標的予防法や治療法の確立といった創薬という点からも有用であり、社会的意義も十分高いと考えられる。
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