2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤におけるBMPシグナルの関与の解明
Project/Area Number |
22791795
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
進 正史 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (70549261)
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Keywords | 口腔癌 / シグナル伝達 / 骨 |
Research Abstract |
口腔癌による顎骨浸潤は、患者の予後を大きく作用する要因の1つと考えられるが、その発症メカニズムはほとんど解明されていない。本申請課題では口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤のメカニズムを解明することを目的としている。前年度までの研究により骨誘導因子(BMP)が口腔悪性腫瘍の顎骨浸潤の機序に関与することを、恒常的にBMPシグナルを活性化する(Kanomata K et al. 2009 Genes Cells 6:695-702)構成的活性型BMP受容体BMPRIACaを癌細胞に遺伝子導入した癌細胞を解析することで明らかにしてきた。 当該年度にはさらに、様々な癌細胞で活性化が報告されているNF-κBシグナルと口腔癌の顎骨浸潤の関連について解析した。ヒト口腔扁平上皮癌患者におけるNF-κBのサブユニットの一つであるp65の発現は、正常口腔扁平上皮細胞と比較し高くなった。p65の活性型である526番目のセリンのリン酸化は、分化の亢進した腫瘍細胞、間葉系細胞、破骨細胞で強く発現していた。さらに、マウス口腔扁平上皮癌細胞株SCCVII細胞をマウスの咬筋部に移植する顎骨浸潤モデルにおいてNF-κB選択的阻害剤であるNBDペプチドの効果を検討したところ、NBDペプチドの投与によって癌細胞による顎骨破壊が抑制された。NBDペプチドの投与群ではRANKLの発現抑制による破骨細胞数の減少、癌細胞のアポトーシスの増加が認められた。 当該年度の研究成果からNF-κBシグナルの選択的阻害が口腔癌顎骨浸潤の抑制に有用であることが示された。
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