2011 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンγ誘導性遺伝子の低酸素による発現抑制機構
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22791797
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
廣井 美紀 明海大学, 歯学部, 助教 (30419717)
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Keywords | シグナル伝達 / 低酸素 / インターフェロン / ケモカイン / 遺伝子制御 |
Research Abstract |
IFNγにより誘導されるケモカインMig/CXCL9およびIP-10/CXCL10は、CD8^+T細胞やNK細胞を腫瘍局所へ動員し、癌の増殖・浸潤を抑制していることが報告されている。一方、腫瘍局所では腫瘍の増殖に見合った血管新生が伴わないため、腫瘍内部は低酸素状態であることが報告されている。これまでに我々は腫瘍局所で見られる低酸素環境が、癌細胞におけるIFNγ誘導性遺伝子の発現を抑制すること、さらにこの発現抑制はコアクチベーターCBP,SRC-1やRNAポリメラーゼIIを含むプロモーター上での複合体形成の阻害により起こるという知見を得た。またこれまでの解析結果から、この低酸素によるCXCL9、CXCL10の発現抑制に上記遺伝子のプロモーター領域のヒストンのアセチル化修飾、また低酸素により誘導される転写因子HIF-1α(Hypoxia inducible factor-1)の関与は認められないことが明らかとなった。しかしHIF-2αの関与について不明であったため、低酸素により抑制されるIFNγ誘導性遺伝子の発現におけるHIF-2αの役割について検討を行った。口腔癌細胞において効率よくHIF-2αのノックダウンを行うため、shRNA発現レンチウィルスベクターの作製を行い、HSC-2細胞にHIF-2α shRNAの導入を行った。導入後、細胞を低酸素環境下で培養し、IFNγで刺激した後、RNAを抽出し、リアルタイムPCR法にてCXCL9およびCXCL10の発現を検討した。その結果、HIF-2αのノックダウン条件下でもIFNγにより誘導されたCXCL9およびCXCL10の発現は低酸素環境下において抑制された。これらの結果からHSC-2細胞において低酸素によるCXCL9およびCXCL10の発現抑制は、低酸素により誘導されるHIF-1αおよびHIF-2α非依存的な抑制機構である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度においてHIF-2α shRNA発現レンチウィルスベクターの作製に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
低酸素によるCXCL9およびCXCL10の発現抑制に関与する因子として、これまでIFNγにより誘導される転写因子STAT1および低酸素により誘導される転写因子HIF-1αおよびHIF-2α、またエピジェネティクスの関与について検討を行ってきた、しかしながら、これら因子の関与が否定されたため、今後は転写開始複合体の形成に関与するRNAポリメラーゼのリン酸化およびメディエーターの関与について検討を行って行く予定である。
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