2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791798
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
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Keywords | chondrogenesis / limb development / Rho GTPase / BMP |
Research Abstract |
Cdc42はRhoファミリータンパク質に属する低分子量Gタンパク質でアクチン細胞骨格を介した細胞増殖、細胞分化、細胞死など細胞の機能制御に重要な役割を果たしている。細胞におけるCdc42の機能については多くの報告がされているものの、Cdc42を全身で欠損させたマウスは胎生初期に致死となるため、生体における機能については報告が少なく、不明な点が多い。本研究ではCdc42の骨・軟骨形成における役割を明らかにするため、Cdc42を主に肢芽間充織細胞で欠損させたコンディショナルノックアウトマウス(Cdc42fl/fl;Prx1-Cre)の作出および表現型の解析を行った。Cdc42fl/fl;Prx1-Creは出生するものの、90%以上が生後数日以内に死亡した。また、四肢の短縮、合指症、頭蓋骨の形成不全、胸骨剣状突起の開裂、口蓋裂などの表現型が認められた。四肢の短縮に関して、軟骨成長板における柱状配列の乱れおよび肥大軟骨層の肥厚が認められ、吸収されなかった肥大軟骨層では肥大軟骨細胞分化マーカーであるCol10およびMmp13の発現が低下していた。合指症に関しては、前肢、後肢の第一指から第四指にかけて合指が認められた。さらに、前肢は第二指と第三指の中手骨の癒合が認められ、Sox9の異所性発現および軟骨凝集過程の不全が認められた。一方、後肢は骨の癒合が認められず、軟組織のみに合指が認められたことから、肢芽指間部における細胞死について検討したところ、前肢、後肢ともに細胞死が減少しており、細胞死を誘導するBmpシグナルおよびその下流遺伝子Msx1、Msx2の発現低下が認められた。以上の結果から、Cdc42は軟骨内骨化における正常な軟骨細胞の肥大化や軟骨基質の石灰化、肢芽形成期における軟骨細胞の凝集およびパターニングに重要な役割を果たしていると考えられる。また、Cdc42による肢芽指間部の細胞死の制御はBMPシグナルを介し行われていることが示唆された。
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