2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791802
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, 助教 (00386096)
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Keywords | 脳・神経 / 光学計測 / 膜電位感受性色素 / 島皮質 / 味覚 |
Research Abstract |
大脳皮質一次味覚野は島皮質に存在し,島皮質に存在する神経が有する可塑性は味覚嫌悪学習などの高次味覚情報処理に重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では,島皮質の神経が有する可塑性の性質を明らかにするために,島皮質に直接電気刺激をした時の興奮伝播を指標とし,テタヌス刺激(頻回電気刺激)を行うことで可塑的な変化を誘発し,興奮伝播の様子がどのように変化するかについて検討した。神経活動は,大脳皮質に膜電位感受性色素(RH-1691)を負荷し,実体顕微鏡にCCDカメラを搭載した光学計測システムを用いて光学的に記録した。神経活動の伝播を誘発するため,刺激用タングステン電極を脳表から深さ0,3mmのところまで刺入し,電気刺激(50Hzの5回連続刺激)を行った。大脳皮質一次味覚野の尾側部分に対してテタヌス刺激を行うと同部位に対して電気刺激をして誘発される興奮は増強された。この増強作用は眼窩前頭皮質の背外側部の一部を含む吻側に向かう興奮伝播において特に強く認められ,島皮質における可塑的な変化は眼窩前頭皮質の背外側部に対してなされる情報伝達に重要な役割を果たしていることが示唆された。また,アセチルコリン受容体,NMDA受容体をブロックすることにより,テタヌス刺激による増強作用は消失したことからこの可塑的変化にはこれらの受容体が関わっていることが示唆された。一方で,大脳皮質一次味覚野の吻側部分に対してテタヌス刺激を行っても同部位に対して電気刺激をして誘発される興奮の尾側部分を刺激した時に認められるような明らかな変化は認められなかった。このことから,大脳皮質一次味覚野の吻側部分と尾側部分の神経が有する可塑的性質は異なる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)