2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラット耳下腺腺房細胞における分泌顆粒の可視化と,生細胞を用いた成熟過程の検討
Project/Area Number |
22791803
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 治 (勝俣 治) 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70349968)
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Keywords | 耳下腺 / 分泌顆粒 / 可視化 / エンドサイトーシス / 初代培養系 / ペリフュージョン |
Research Abstract |
本研究の目的はラット耳下腺腺房細胞のエンドサイトーシス経路を利用して分泌顆粒を可視化し,顆粒成熟過程を検討しようという試みである。H22年度は色素の取り込み条件を検討し,実際に色素が分泌顆粒に取り込まれるかを確認した。 分泌刺激薬であるイソプロテレノール(5.5mg/kg)をラットの腹腔内に投与し,2時間後,耳下腺腺房細胞を摘出した。この時,懸濁液として調製された細胞は分泌顆粒を持っていない。細胞を蛍光色素であるルシファーイエロー含有培養液にて3時間培養した後,新しく生成された分泌顆粒に蛍光色素が含まれているかを様々な角度から検討した。まずパーコール遠心法にて分泌顆粒を精製し,顆粒内容物から蛍光が検出されることを確認した。続いて共焦点レーザー顕微鏡を用い分泌顆粒のマーカーであるアミラーゼとの共局在を,さらに電子顕微鏡観察によりルシファーイエローが分泌顆粒様構造物内に局在していることを確認した。次に分泌顆粒に取り込まれた色素が分泌応答を示すかを,ペリフュージョンシステムを用いて検討した。このシステムは単位時間当たりの分泌量を測定できるシステムであり,分泌能の検討には非常に有効である。検討の結果,アミラーゼ分泌と一致したフラクションにルシファーイエローが検出された。これらの結果は分泌顆粒内に蛍光色素であるルシファーイエローが取り込まれたこと,さらにその顆粒が分泌能を維持していることを示している。 ここで,その後の実験に障害となる問題が生じた。それは新しく生成された分泌顆粒の直径が非常に小さいことである。そのため共焦点レーザー顕微鏡下では点状にしか確認できない。この問題を解決するため,ラット耳下腺腺房細胞の初代培養系を利用し,長期培養による分泌顆粒の成熟を試みた。現在,共焦点レーザー顕微鏡下で球状に確認できる分泌顆粒にまで成熟させることに成功している。
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Research Products
(2 results)