2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラット耳下腺腺房細胞における分泌顆粒の可視化と,生細胞を用いた成熟過程の検討
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22791803
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 治 (勝俣 治) 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70349968)
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Keywords | 耳下腺 / 分泌顆粒 / 可視化 / エンドサイトーシス / 初代培養系 / ペリフュージョン / ルシファーイエロー |
Research Abstract |
本研究はラット耳下腺腺房細胞のエンドサイトーシス経路を利用して分泌顆粒を可視化し,顆粒成熟過程を検討することを目的としている。H22年度に色素を取り込ませる条件を検討し,H23年度には実際に色素が分泌顆粒に取り込まれているかどうかを様々な方法で確認した。分泌顆粒へ色素を取り込ませるためには分泌刺激薬であるイソプロテレノール(5.5mg/kg)をラットの腹腔内に投与し,2時間後に摘出した耳下腺をさらに蛍光色素であるルシファーイエロー含有培養液にて3時間培養した。その後,分泌顆粒内に蛍光色素が含まれているかどうかを検討した。本研究により得られた5つの主な結果を以下に示す。 1,蛍光色素がアミラーゼ(分泌顆粒マーカー)との共局在を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。 2,電子顕微鏡にてルシファーイエローが分泌顆粒様構造物に局在していることを観察した。 3.精製した分泌顆粒内よりルシファーイエローの蛍光を検出した。 4,細胞からの刺激依存的な蛍光分泌を時間分解能の高いペリフユージョン法にて検出した。 5,長時間の培養により蛍光色素をもつ分泌顆粒を大きく成熟させることに成功した。 これらの結果は分泌顆粒内に蛍光色素が取り込まれていることを明らかに示している。さらに,顆粒を成熟させることができたのは今後の蛍光観察において非常に価値のある結果であるといえる。これまでに耳下腺腺房細胞において多くの細胞内輸送経路が報告されている。それにも関わらず分泌顆粒へのエンドサイトーシス経路はこれまで報告されていない。この経路の発見だけでも充分価値のある結果であると考えている。そこでここまでの結果をまとめ,論文として報告したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耳下腺分泌顆粒内に蛍光色素を取り込ませることに成功した。この結果は分泌顆粒へのエンドサイトーシス経路の存在を示しており,現在その結果を論文としてまとめている。そのため,おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の予定は分泌顆粒を可視化した細胞を用いて行う予定であったが,実際に実験に用いられるような分泌顆粒内に色素が取り込まれる細胞数は数少なく,実験材料として蛍光観察に用いるのは非常に困難な状況にある。そこで今後は本実験により確立された分泌顆粒形成経路という実験系を軸に,分泌顆粒の成熟過程の検討を行いたいと考えている。実際には分泌顆粒と未成熟顆粒を精製し,膜タンパク質組成の違いからキーとなるタンパク質を検索し,そちらから分泌顆粒の成熟過程を検討していこうという計画である。
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Research Products
(1 results)