2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791811
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 雅子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 特任研究員 (60437382)
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Keywords | 骨転移 / 癌性疼痛 / 酸感受性受容体 |
Research Abstract |
ラット肺癌細胞株をF344ラットの脛骨内へ接種し、骨転移モデルを作製した。このモデルに対し、酸性領域に集積する性質をもつ蛍光色素アクリジンオレンジを投与し、生体内での分布を検討したところ、腫瘍巣に一致して蛍光が認められ、転移巣が酸性環境を呈していることが示された。これらの動物から後根神経節(DRG)を採取し、酸感受性受容体(Trpv1、ASICs)の発現を検討した。免疫染色では、神経細胞においてこれら受容体の発現が確認されたが、発現細胞数については差が認められなかった。そこでDRGよりRNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いて検討したところ、Trpv1 mRNAの発現が腫瘍接種側で増加することが分かった。Trpv1の活性化は、神経伝達物質の発現調節を介して痔痛の発生に関与することを既に報告しており(Nakanishi et al., Mol Biol Cell, 2010)、痔痛メカニズムの一因にTrpv1の発現量の変化も関わっていることが推察される。ASICの発現については、腫瘍接種による発現量の変化は認められなかった。脛骨転移モデルは、骨髄内へ細胞を直接接種するため腫瘍の成長が早く、増殖に伴って顕著な骨融解像を示すが、腫瘍が成長しすぎると完全に骨を破壊し、軟部組織の損傷も含めた複雑な病態を呈してくる。そこで、よりヒトの骨転移に類似した病態を作出する目的で、ラットの左心室腔内へ細胞を接種し、全身性の骨転移モデルを誘発した。現在、このモデルにおける痔痛関連分子の発現について解析を進めている。
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