2012 Fiscal Year Annual Research Report
内因性アジュバントを用いた新規口腔癌治療ワクチンの開発
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22791813
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 里永子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30452460)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 補体 / ワクチン / 腫瘍免疫 / MUC1 / 抗体 / アジュバント / 細胞障害性T細胞 |
Research Abstract |
口腔癌患者において、腫瘍組織に口腔癌特異的な腫瘍抗原が発現しているにもかかわらず、腫瘍に対する抗体価及び細胞障害性T細胞(CTL)の頻度は低い。そこで、内因性アジュバントC3dを用いた口腔癌特異的MUC1抗原の新規ワクチンを作成し、その効果を検証することを目的とした。 着目した腫瘍抗原MUC1は、粘液の主成分の高分子糖蛋白質ムチンで、主に腫瘍細胞の細胞表面に存在し、正常組織では発現量が少ない。一方、C3dは、補体成分C3の断片で、アジュバント様に作用する。MUC1単独では免疫原性が低いが、C3dを融合させる事により、効率よく補体レセプターを持つ免疫細胞に認識され、MUC1に対する抗体産生を誘導し、さらに、MUC1に対するCTL誘導も可能な新規ワクチンになると予想される。 24年度は、MUC1-C3dワクチンの発現ベクターを、pTR600ベクターを用いて構築した。COS7細胞に遺伝子導入を行ったところ目的のタンパク質が確認されたので、大量培養を行った。また、安定的にタンパク質を発現するCHO細胞を用いて、遺伝子導入後、クローニングを行い、数種類のMUC1-C3d産生細胞株を樹立した。培養上清中のMUC1-C3dを、イオン交換カラムを用いて精製した。精製したMUC1-C3dを用いて、ヒトPBMCと2週間培養することにより、MUC1に対するCTLの誘導を試みた。CTLがうまく誘導されたことを確認するため、現在、MUC1が発現している標的細胞として、MUC1が発現しているEB-virus transformed B lymphoblastoid cell line (LCL)と、MUC1が発現していないLCLを作成中である。今後、誘導したCTLの特異性を検討するため、作成したLCL及び、口腔癌細胞株にCTLと同じハプロタイプのHLAを遺伝子導入した標的細胞を作成して用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MUC1特異的細胞障害性T細胞(CTL)の特異性を検討するための標的細胞の作成に、少々時間がかかっているが、MUC1-C3d及び、MUC1の発現ベクターの検索、遺伝子導入する細胞の検討、タンパク質の精製方法の検討も順調に進み、MUC1-C3d及び、MUC1タンパク質が、解析に用いるのに十分量精製できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
MUC1-C3dが、MUC1を発現している細胞を特異的に破壊する細胞障害性T細胞(CTL)を誘導できるか解析する。MUC1特異的CTLの特異性を検討するために、CTLと同じHLAのハプロタイプをもつ細胞で、かつ、MUC1が発現ている細胞と、MUC1が発現していない細胞を用いて、比較する必要がある。そのために、腫瘍細胞を用いるのと同時に、MUC1が発現しているEB-virus transformed B lymphoblastoid cell line (LCL)と、MUC1が発現していないLCLを作成して、CTLの特異性を解析する。その後、口腔癌細胞にCTLと同じHLAを遺伝子導入した細胞を、標的細胞とし、CTLの活性を測定する。細胞障害性T細胞を誘導する方法として、末梢血リンパ球にMUC1-C3dを加えて培養する以外に、末梢血から樹状細胞(DC)を誘導後、MUC1-C3dを加えてMUC1-DCを作り、それと末梢血リンパ球を混合培養して、MUC1特異的CTLを誘導することも試みる。MUC1-C3dと、MUC1のみを用いた場合で、比較し、C3dのアジュバント効果を検証する。
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Research Products
(3 results)