2010 Fiscal Year Annual Research Report
有効な経口投与型ワクチンを開発するための腸管粘膜免疫応答誘導機序の解明
Project/Area Number |
22791816
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
橋爪 智美 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (50419785)
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Keywords | Salmonella / 腸管粘膜免疫 / 分泌型IgA / パイエル板 |
Research Abstract |
本研究は、有効な経口投与型ワクチンを開発するための腸管粘膜免疫応答誘導機序の解明を目的としている。経口投与された抗原の種類により腸管の抗原特異的分泌型IgA抗体応答誘導メカニズムが異なっており、経口投与されたサルモネラ抗原特異的分泌型IgA抗体応答誘導にはパイエル板の存在が必要である。そこでマウスに弱いガンマ線を照射することで、生体内のリンパ組織構造を一度破壊し、そこへ正常マウスから分離してきたパイエル板のリンパ球を移入し、パイエル板のみ再構築が起こった状態での組換え型サルモネラに対する免疫応答誘導について解析することでパイエル板のリンパ組織構造が重要なのか、あるいは、パイエル板に特異的に所属しているリンパ球サブセットが重要なのか検討を行った。その結果、パイエル板欠損マウスにサルモネラ抗原で予めプライミングしたマウスから分離したパイエル板のリンパ球を移入しても、経口投与されたサルモネラ抗原に対する抗原特異的腸管の粘膜IgA免疫応答は誘導されなかった。一方、ガンマ線照射後に正常マウスから分離してきたパイエル板細胞或いは脾臓細胞を移入した群では、脾臓細胞を移入したマウスでは腸管IgA粘膜免疫応答誘導は回復しなかったが、パイエル板細胞を移入したマウスでは、サルモネラ抗原に対する粘膜免疫応答が回復した。これらの結果より、経口投与されたサルモネラ抗原に対する腸管の粘膜免疫応答誘導にはパイエル板のドーム状のT細胞領域とB細胞領域等を兼ねそろえたリンパ組織構築が重要であるということが示唆された。
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