2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動に関わるセロトニン受容体の発現制御に働くノンコーディングRNAの解析
Project/Area Number |
22791817
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
添野 雄一 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (70350139)
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Keywords | 歯学 / 病理学 / ノンコーディングRNA / snoRNA / 脳 / 摂食障害 / セロトニン受容体 / RNA-タンパク複合体 |
Research Abstract |
セロトニン受容体は中枢神経系における摂食行動調節に密接に関わっており、脳組織ではリガンド刺激に対して異なる応答を示す複数のセロトニン受容体2C(5-HT_<2C>R)アイソフォームが発現していることが知られている。本研究では、この分子多型の成立機序として脳組織特異的な発現を示し5-HT_<2C>R mRNAとの塩基相補性を持つsnoRNAであるMBII-52に着目し、5-HT_<2C>Rアイソフォームの発現パターン制御に働くMBII-52-タンパク複合体の分子動態・制御機構の解明を目指す。本年度は、RNAアフィニティ精製法を応用したMBII-52 snoRNA-タンパク複合体の単離と質量分析を行った。マウス脳抽出物のグリセロール密度勾配遠心分離では、MBII-52-タンパク複合体は通常のsnoRNA複合体と同等の沈降速度12S付近に分画され、高い塩濃度条件(420mM)での可溶化においても安定であった。この複合体のアフィニティ精製後の質量分析では、17種類のタンパクを検出した。なかでもNucleolinとELAVL1は、特異抗体による免疫沈降によってMBII-52 snoRNAが共沈することも確認しており、MBII-52複合体形成におけるシャペロン活性、核質・核小体間のMBII-52輸送、mRNAの安定性に関わっていることが推察された。また、培養神経細胞から多段階精製を経て核質成分と核小体とを分離・解析した結果、MBII-52 snoRNAは核質にも多量に分布していることを明らかにできた。これらの成果により、従来のsnoRNA機能(核小体におけるリボソームRNAの成熟を補助する)とは異なる機能として、MBII-52 snoRNAはNucleolinやELAVL1と協同することで核質に局在し、5-HT_<2C>R mRNAの転写後成熟に作用しうることを示した。
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