2011 Fiscal Year Annual Research Report
Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム関連分子の探索
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22791822
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中尾 龍馬 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10370959)
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Keywords | 歯周病 / Porhyrmonas gingivalis / ヘマグルチニン / バイオフィルム / 糖タンパク / HagB / ワクチン |
Research Abstract |
細菌由来で糖修飾を受けているタンパクとしては、現在まで、髄膜炎菌の繊毛、カンピロバクターのべん毛、大腸菌のアドヘシン等の報告がある。またP.gingivalisにおいては、プロテアーゼであるジンジパイン、ヘミン結合タンパクのHBP35、マイナー繊毛、そして外膜タンパクOmp85が糖修飾を受けることが報告されている。これらの報告された糖タンパクはいずれも細菌の病原性に深く関与するものである。本研究においては、昨年度までP.ginglvalisのHagBが糖修飾を受ける表層タンパクであり、バイオフィルム形成に関与することを明らかにした。そこで、平成23年度はこのHagBに焦点を当て研究を推進した。HagBの細胞内での局在をHagB抗体を用いたウエスタンブロット解析により調べたところ、HagBは全菌体、および外膜画分から検出されたが、内膜、ペリプラズム、細胞質画分や外膜ヴェシクルからは検出されなかった。 また、現在、HagB抗体を用いたバイオフォルム形成阻害実験を試みており、予備実験において、フロリダ大学から譲渡を受けたHagBポリクローナル抗体が、バイオフィルム形成を強く阻害するようであり、今年度は、この確認の実験を行い、このバイオフィルム形成阻害のメカニズムについて考察したい。 これに加えて申請者は、マウスへ経鼻免疫による全身性の免疫(血液)と局所の免疫(唾液)に誘導するシステムを確立し、この系を用いて歯周病ワクチンの研究を推進している。本研究の成果から、ヒトにHagB抗体を誘導することができるワクチンができれば、P.gingivalisのバイオフィルム形成を阻害できる可能性が示唆されるので、今後HagBの動物実験への応用を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
P.gingivalisのバイオフィルム形成分子として、表層タンパクHagBを同定した。また、HagBは糖修飾を受けていることを明らかにした。現在まで、P.gingivalisを含めた細菌において同定された糖タンパクの多くが病原性に関連する重要なタンパクであったので、HagBもまた同様にP.gingivalisの病原性に深くかかわっている可能性が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、HagBタンパクのバイオフィルム形成への関連に絞った、内容を一つの輌として研究を推進する。特にHagB阻害抗体のバイオフィルム形成への関与を調べ、良好な結果が得られた場合、HagBタンパクを免疫原とするワクチンの可能性について調査をする。 われわれは現在、マウスへの経鼻免疫による歯周病の予防を目的としたワクチン研究も推進しており、このマウス経鼻免疫の系にHagBタンパクをこのマウスの系に応用していく予定である。
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