2011 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的T細胞レセプター解析の基づく重金属アレルギー病態形成機序の解明
Project/Area Number |
22791823
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Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
後藤 哲人 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療研究室, 研究員 (50518131)
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Keywords | 金属アレルギー / TCR / 遅延型過敏反応 |
Research Abstract |
研究要旨:我々は、鼠径部への感作および足瞭への誘導により確立した金属アレルギー発症モデルマウスを用いて、金属アレルギー発症に関わる特異的T細胞の存在をT cell receptor(TCR)の見地より解析を行っている。本研究結果より、アレルギー発症局所においてTCRVα18-1・Vβ8-2を持つモノクローナルなT細胞の増殖が認められた。TCRの超可変領域であるCDR3領域におけるシークエンス解析により、個体を超えて同一のクローンが存在することが明らかとなった。本研究で検出されたクローンは、金属アレルギー病態形成の発症に直接関与している可能性が示唆された。 研究目的:本研究では、鼠径部への感作および足瞭への誘導により確立した金属アレルギーモデルマウスを用いて、我々の保有するTCRレパトア解析法で金属アレルギー炎症局所におけるT細胞の動態および性状を鯉析することを目的とした。 .結果:TCRレパトアにより、特異的V family(Vα18-1;Vβ8-2)でSkewが認められた。またCDR3 size spectratypeingにより、炎症部局所におけるモノクローナルな丁細胞の存在を確認した。CDR3領域におけるシークエンス解析により、個体を超えて同一のクローンが存在を明らかにした。 考察:金属アレルギー発症局所に検出された特異的V family(Vα18-1;Vβ8-2)を有するT細胞は、金属アレルギー病態形成の発症に直接関与している可能性が示唆された。 E結論:金属アレルギー発症局所には特異性の高いT細胞が存在しており、本研究で検出されたクローンは、金属アレルギー病態形成に直接関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々が経時的な変化に留意して行った今回の一連の実験結果により、一般的にT細胞主体の疾患と定義されている金属アレルギーにおいて、その病態形成に主体的に働くT細胞のサブファミリーが経時的に変化している可能性が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)金属アレルギーは抗原金属に長期間反復暴露されることで惹起されるという点に留意し、我々はマウスへ抗原金属を反復感作・誘導を行うこととした。その結果、この改変モデルマウスでは病変部局所において長期間にわたるT細胞浸潤とアポトーシス誘導因子の上昇が認められ、病理組織像も時間経過すると共に明らかな組織破壊を伴った。ゆえに我々は金属アレルギーの臨床病理学的な病態と近似した状鯨を呈するモデルマウスを作製することに成功したと考える。 (2)この改変モデルマウスを用いたTCRレパトア解析の結果より、時間経過と共に出現する組織破壊像とパラレルに上昇するT細胞の特異的サブファミリー(TCRAV18-1、3-2)が存在する一方で低下する特異的サブファミリー(TCRAV11-1、1-2)が存在している事が明らかとなった。よってこれらの特異的サブファミリーが金属アレルギーの病態形成に何らかの重要な役割を担っている可能性が示唆された。 (3)現在までの解析はマウスを用いた疾患モデルである。ヒトへの外挿を考慮し、小型霊長類であるコモン・マーモセットでの疾患モデルの確立を目指しており、今期は、マーモセットの免疫系ツール確立の為にTCR遺伝子のクローンニングを終了した。
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Research Products
(3 results)