2011 Fiscal Year Annual Research Report
接着性根管充填材応用による垂直性歯根破折の挙動およびその予防
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22791826
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
花田 隆周 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (90549940)
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Keywords | 外科的歯内療法 / 根尖切除術 / 逆根管窩洞形成 / 垂直性歯根破折 / 破折荷重 / 逆根管充填材料 / 破折様相 / MTA |
Research Abstract |
本年度における研究成果は,根尖切除が垂直性歯根破折に与える影響の追加実験を行い,論文掲載推進中である.歯内療法において非外科的歯内療法が失敗した場合,あるいは非外科的歯内療法が困難な場合において外科的歯内療法が行われる.外科的歯内療法における多くの場合の手技は,根尖掻爬術および根尖切除術を行う.根尖切除術は,根尖切除,逆根管窩洞形成および逆根管充填の一連の手技が行われ,逆根管窩洞形成時には根尖部象牙質の厚さが減少し,垂直性歯根破折抵抗性を低下させる.ヒト抜去上顎犬歯を用い無作為に以下のMTA群,EBA群,CR群,根尖切除群および対照群に分類し,破折荷重試験および破折様相の観察を行った.破折荷重を表2に示す.破折荷重の平均は第4群(根切後逆根管充填窩洞形成なし)の27.73±9.67kgfが最も低く,第3群(コンポジットレジンによる逆根管充填)の34.69±8.06kgfが最も高い値を示した. 逆根管窩洞形成を行うと,残存歯根象牙質の内側径は歯冠側へ行くに従い増加する.しかしながら,根尖側における歯根の外側径も,根尖切除に伴い増加するため,逆根管窩洞の辺縁から,歯根の外縁までの残存象牙質の厚さは,根尖切除がされていない根尖部の薄い象牙質と比較し,極めて薄いところが無くなったと考えられる.被験歯として選択された歯は,極端に幅径が大きいものや小さいもの,また歯根の状態が悪いものは排除され,MAF#40に統一されており,しかも口腔外において根尖切除逆根管形成が行われたため,より保存的に残存象牙質を残した手技となっている.すなわち,残存象牙質の厚さは,全ての被験歯において,破折に抵抗しうる厚さであったと言える.また,残存象牙質の厚さが十分であったため,逆根管充填材の特性の違いによる臨床的に意義のある破折抵抗性の変化は認められなかったと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
根尖切除が垂直性歯根破折に与える影響の追加実験および論文推進に計画以上に時間がかかってしまったことがやや遅れている原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
根尖切除が垂直性歯根破折に与える影響の論文掲載を推進し,ファイバーポイントの応用による、破折抵抗性の変化についても論文執筆中であり,投稿の予定である.
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